2024年08月30日
デニーロ風味とスコッチ

"MGC 44Magnum 8 3/8inch"
少し前にイベントでタニコバさんが出店していて、そこで気になる筒状の紙が売っていたので購入させていただきました。
中身はというと、、MGCボンドショップのB2サイズ1枚物の古いカレンダーでした。
1977年のカレンダーとなっており、イラストは当時のMGC新製品だった44マグナム8 3/8インチの宣伝イラストとなっています。
どこにも明言されていませんが、1976年公開の映画「タクシードライバー」の主人公トラビス(ロバート・デ・ニーロ)に見えますね。
下の方にはチラっとM61エスコートも描かれていたりするのが素晴らしいです。
カレンダーの紙は端の部分にわずかな折れ・破れや経年変化により変色がありましたが、大きな折り目や画鋲跡・テープ跡などは皆無で未使用と思われる状態です。
年代を考えるとかなりラッキーな品を入手できたと喜んでいる次第です。
画鋲などで直に壁に貼ったりするのがもったいないので、B2サイズのフレームを買ってきてディスプレイできるようにしました。
このカレンダーが刷られた当時はMGCのABS樹脂製モデルガンのリボルバーが続々と発売されていた頃です。
ハイパト41(1972年)、44マグナム 6.5in(1974年)、ローマン/トルーパー(1975年)、ニューパイソン(1977年)といった感じです。
映画ダーティーハリー人気とともにヒット商品となった44マグナムはバレル・フレーム一体成型の6.5インチのみだったものをバレルとフレームは個別に成型し、バレル長にバリエーションを持たせることができるようになりました。
そこで8 3/8インチと4インチが追加となったのでした。
このイラストは新バリエーション発売の広告に使われたのが最初のようです。
当時のMGC広告のイラストや写真はこのようなカッコいいものが多かったです。
他にもポスターやカレンダーがあったら欲しいですが、狭い家ではこれ以上飾る壁がありません。。
もし別のバージョンが入手できたら、気分でポスターフレームの中身を入れ替える、という方法しかないですね。。

私はダーティーハリーやタクシードライバーの公開時がリアルタイムでなく、「太陽にほえろ!」を見てモデルガンに興味を持ったので子供時代はハリーキャラハンもトラビスも知らないままでした。
なので44マグナムの長い奴、といえば西部警察のリキ(寺尾聰)が最初で次に太陽にほえろ!のスコッチ(沖雅也)のイメージなのです。
その後も刑事ドラマの再放送などを見まくり、「大激闘マッドポリス'80」や「警視庁殺人課」などでたっぷりと44マグナムを堪能していたので、それで十分にハマることになったのでした。
この個体はSPG規格の生産のもので、銃口ギリギリまでインサートがあるバージョンです。
(当時はそれしか売っていなかったので)
スコッチ仕様に倣って、パックマイヤーを取り付けています。なんと本体は無加工のまま取り付けられました。
グリップ固定用のスタッドピンもMGC純正のままです。
これはゴム製グリップならではの特徴で、グリップをフレームに合わせたらグリップスクリューを締め込む力だけ固定しているのです。
スタッドピンはゴムに包まれて邪魔にならなくなるので隙間もできません。
ただ、パックマイヤーなら全部このようにMGCに無加工で取り付けられるか、というとそうではなく、このタイプのグリップのみ取り付けられるようです。
・だいたいグリップのサイズが合っている
・メダリオン裏の部分が干渉しない
・グリップ裏面がフラットである
・グリップスクリューの位置がノーマルと同じ
このような特徴を持っている必要があります。
しっかりと取り付けるのであればS&Wリアルサイズにグリップフレームを加工する必要があります。

海外は分かりませんが、考えてみたら私服警察官がこのような長い銃を持つことになったら大変でしょうね。
ニューナンブ風(HWS製Jポリス)のモデルガンと並べてみると、その大きさの違いは歴然です。
ガンアクション好きのドラマ視聴者としては大きくて派手な銃で撃ちまくってほしいですが、現実は取り出す機会もほぼ無いでしょうし、軽くて小さい方が断然ラクだとは思います。
過去に伺った話だと日本の警察官は銃種を選べない(当たり前か)とのことで、大きなモデルを持たされるのはイヤがられる傾向にあるとのこと。
44マグナムと同じNフレームのM1917は相当嫌われていたんだろうなーと思います。
どこの地域かはわかりませんが、噂では弁当箱というあだ名がついていたそうです。
ちなみにMGCビジェール(1982年発行版)で妹尾河童氏と寺尾聰氏の対談記事があり、
「撮影開始前の衣装合わせの際に遅刻してしまい、選べる小道具が44マグナムしか無かった」
という秘話が語られていました。
<前略>
河童:「じゃ、8インチの44マグナムを自分の銃に選んだのもアクション効果を考えて?」
寺尾:「あれはそうじゃないんです。映画を撮る前に衣装合わせと小道具合わせというのをやりますね」
河童:「ええ、各自のキャラクターづくりの為にもかなり重要なプロセスだ」
寺尾:「その時ね、不覚にも遅刻してしまって、駆け込んだ部屋のテーブルにあったのは、この44マグナムの8インチの奴が一丁だけ。先に来た連中はそれぞれ使いやすそうな銃を既に持ってるの。(笑)で、小道具係の人に『もう少し短いの他に何かありませんか?』と聞いたんだけど『これしかありません』と冷たく言うのね。(笑)」
河童:「ということは各種の銃が出演者の人数分しか置いてなかったわけ?」
寺尾:「そう。で持ってみたら思った以上に大変なんだよね。ホルスターに突っ込んで座るとグリップでアゴをガーンと突き上げるように打っちゃうし(笑)じゃ背中にって背中の方に入れるとウェストの幅よりあるわけよね。シャツだと両側からはみ出して見えるし…。上着きれば何とか隠れるんだけど、さてどうやって抜けばいいやら…刑事の役も初めてなら銃を持つのも初めてなんだからえらいことになったぞと、8インチバレルだなんて変てこなバカ長さをホント呪ったね。(笑)」
<後略>
このエピソードはおそらく石原プロ製作の刑事ドラマ、NTV系「大都会パート3」のことだと思います。
スラっとカッコいいジロー(寺尾聰)はめちゃくちゃ似合っててカッコよく、そのキャラクターは次作のテレビ朝日系「西部警察」のリキ(寺尾聰)にそのまま引き継がれました。
裏話を聞いてみると意外な感じがしますよね。

このスコッチ仕様の44マグナムは実際に劇中に登場したのは後期(1980~81年)のわずかな期間でした。
初期(1976年~)のスコッチ刑事は早く抜くために短銃身を選んでいるという設定があり、使用銃は当時のMGC新製品であるローマン2inchでした。
初期のスコッチは素行が悪く、けん銃を乱用しているような刑事だったというのもあり、すぐに抜いて撃てる銃を好んでいたという設定でした。
それにはちゃんと理由があり、現場で自分が撃つのを躊躇したために先輩刑事が目の前で殉職したという過去場面が描かれています。
その後、仲間を信用しなくなり、銃だけに頼る人間不信で冷たい刑事というのが初期設定でした。
(ゴリさんのハイパト3.5インチについて、自分のローマン2インチより抜くのが遅くなる、と指摘する場面もあります)
その後、スコッチ刑事は転勤を経て復帰(1980年)し、その際の使用銃はトルーパー6inchで、短銃身を好むという設定は無くなっていたのです。
なのでスコッチが復帰したときにトルーパー6インチを持っていた場面には「刑事の中で一番長くなっているじゃないかー」というツッコミがたくさんあり、設定矛盾と制作側のご都合主義、みたいな解釈が多かったと思います。
友人は「MGCのモデルガンを宣伝するためにスコッチの信念を曲げられたのだ」と根拠もなく過激な意見を言っていました。
ただ改まって考えてみると、、、
スコッチは七曲署でボスたち仲間と交流するようになって、人間の心を取り戻し、転勤、そして復帰という流れの中で「早撃ち」をする必要性が薄れていったのではないかなとも解釈しています。
(復帰後でも結構撃ってましたが・・)
つまり「スコッチの銃身の長さは人間らしさの表れ」という解釈です。
スコッチ刑事は病死という形で七曲署を去りましたが、もっと続いていれば愛銃はバントラインスペシャルになっていたかもしれませんね。
もちろん私の偏った独自意見です。。。

ちなみにMGCでは”M29”というモデルナンバーは一切使わず、呼称を「44マグナム」で統一していました。
S&W社がモデルナンバーを付与するのが1950年代なので、モデルガン発売当時でもM29と名乗ってもおかしくは無かったと思います。
M29-1以前のM29は4スクリューでサムピース下にモノグラムが刻印されているものがある、と文献には書いてあるので、MGCとよく似た仕様のM29は存在した可能性はあります。
ただ、MGCは他のモデルガンと同様に本物と同じモデルを表す刻印はありません。
グリップメダリオンも輸出時には「RMI」(輸出用ブランド)としていたそうです。
よって、M29を名乗らないのはMGCの輸出対策、商標対策だったのかもしれません。
MGCの末期にヘビーウェイト樹脂でリバイバル生産した際は商品名を"MODEL 29 HW"としていたので、ちょっと方針転換したのかな、と思いました。
そういえば子供の頃はけっこうモデルガンブームでみんな知識があったせいか「44マグナムは弾の名前であって銃の名前ではない」って声高く主張してた友人がいたりしました。
確か子供むけの漫画(コロコロコミックだっけかな)でM29を「44マグナム」と読んでいたのに憤慨したそうです。
MGCに連れて行ったら、どうなるんだろう、ってなんて思ったりもしました。
当時「よんよんまぐなむ」と呼ばれていたのはM29の事だと思うので、どっちで呼んでも勘違いすることは少なかったのだと思います。
同じ弾のブラックホークは「ブラックホーク」と呼んでいた記憶があります。
M29はミリポリやハイパトみたいな名前がついていないので、44マグナムという名前でも良いような気が。
他にM27(=357マグナム)とかもありますしね。
こんなことでワイワイガヤガヤしていたのは、もう何十年も前の話です。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
本当に怖い第102話の兇銃オートマグ
ユージは使ってて使ってない
そのディテクティブ、ローマンにつき
GM2鑑定士(上級)試験 最終問題
はがれメタルがあらわれた
ハイパトは何丁あっても良いですからね
クライムハンター・ブルース澤村パイソン
なかなか出ないオフィシャルポリス
ニューMGC上野店カスタム
世界一安全なモデルガン MGC M1カービン
MGC奇跡の終焉
作戦「砂漠の嵐」 MULE デザートストーム
ブローバックするプラモデル
地獄行の列車とやらにはお前が乗るんだな
賀正2025 天ぷらトルーパー50周年
夢のモーゼル・ブローバック
デデンデンデデン
制服用装備 "法男 4吋"
ジーパンのミリポリ22リターンズ
ハンターチャンス8
ユージは使ってて使ってない
そのディテクティブ、ローマンにつき
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ハンターチャンス8
この記事へのコメント
>露土馬さん
はじめまして!
寺尾聰氏はガンマニアだったのですね。
インタビューでのコメントは読者を楽しませるためのリップサービスだったのかもしれませんね。
私は次郎⇒リキの44マグナムはとても似合っていて、すごい憧れを持っていたので、これを読んだときには、そういうものなんだーと感心した記憶があります。
スコープとストックを付けて狙撃銃にするのも憧れていたのが懐かしいです。
今後ともよろしくお願いします!
はじめまして!
寺尾聰氏はガンマニアだったのですね。
インタビューでのコメントは読者を楽しませるためのリップサービスだったのかもしれませんね。
私は次郎⇒リキの44マグナムはとても似合っていて、すごい憧れを持っていたので、これを読んだときには、そういうものなんだーと感心した記憶があります。
スコープとストックを付けて狙撃銃にするのも憧れていたのが懐かしいです。
今後ともよろしくお願いします!
Posted by MGCMC
at 2024年09月17日 11:49

初めてコメントさせていただきます。
寺尾聰氏の44マグナムは遅刻が原因だった、というのは彼がガンマニアであることを隠すための嘘ではないかという説がありますが、私もそう思います。
というのも、大都会パート3での黒岩軍団の拳銃はほとんどがローマン2インチで
違うのはトラのガバメントとジローの44マグナムだけです。
これは2人がパート3からの新登場で特別扱いのためと思われ、ある程度キャラクターに合わせたチョイスだったと推測します。第一話からジローによる44マグナムの印象的な発砲シーンが登場しますし。
そのため寺尾氏の言う、先に使いやすい銃が持っていかれていたというのは考えにくいのではないかと思います。
長文失礼しました。
寺尾聰氏の44マグナムは遅刻が原因だった、というのは彼がガンマニアであることを隠すための嘘ではないかという説がありますが、私もそう思います。
というのも、大都会パート3での黒岩軍団の拳銃はほとんどがローマン2インチで
違うのはトラのガバメントとジローの44マグナムだけです。
これは2人がパート3からの新登場で特別扱いのためと思われ、ある程度キャラクターに合わせたチョイスだったと推測します。第一話からジローによる44マグナムの印象的な発砲シーンが登場しますし。
そのため寺尾氏の言う、先に使いやすい銃が持っていかれていたというのは考えにくいのではないかと思います。
長文失礼しました。
Posted by 露土馬 at 2024年09月15日 23:35
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