2024年11月20日
JP謎グリップ
"Kokusai M36 JP Custom"
コクサイM36モデルガンベースのチーフスペシャル JP(Japan Police)風カスタムです。
かなり昔に中古入手した外観カスタムとなります。
ベースは亜鉛合金製の金型共用となった初期の頃のヘビーウェイト樹脂製のようです。
カスタム箇所としては小判型サムピース、ランヤードリングの取付と刻印の打ち直し、ノーマルのプラグリップを加工したJP風カスタムグリップです。
実際の日本警察装備は謎に包まれているので、このような仕様が実在したのかは不明です。
本やネットで調べても、ほとんど情報を得ることはできませんでした。
グリップに関しては、過去のニュース報道写真・映像などでプラ製と思われるS&W非純正グリップを見た記憶はあります。
あくまで真偽不明の伝聞情報ですが、S&Wなど輸入装備の木製グリップが経年劣化や破損により交換が必要になった場合、国内の納入業者(ミネベアミツミ等)が独自に製造したプラスチック製グリップに換装する、という事例があるそうです。
過去の報道写真のおぼろげな記憶ではニューナンブに似た赤茶っぽくて独特なチェッカリングが入っていたと思います。
このカスタムグリップはその雰囲気を感じさせる、という加工を施されていますが、実際のデザインとは異なるようです。
特製のカスタムパーツにより、武骨な制式装備といった雰囲気が演出されています。
実在するとなると、3スクリュー・小判サムピースという4スクリューからの移行期の古い過渡期M36と推察します。
この形状のサムピースを「小判サムピース」「小判型サムピース」と呼ぶことが多かった記憶があります。
よく見ると小判型というより四角い感じなので、縞々模様(スリット状)が小判っぽいのかな?と思ったりもしますが、おそらくKフレームのミリタリーポリスは本当に小判型をしているので、そこが由来なのだと思います。
【参考】海外サイトで見つけた実物画像
(左)ミリタリーポリス
(右)チーフスペシャル
海外では"flat latch"または”flat thumbpiece"と呼ばれているようです。
HWS M36との比較。
HWS M36は1980年頃に発売された東京CMC製M36から金型を引き継いだハートフォードがリバイバル生産しているもので、プラスチック製モデルガンのM36としてはもっとも古い設計の部類に入ります。
古いながらも設計や外観のリアルさは現在でも通用する高いレベルのモデルガンですが、作動の渋さ、不確実さ、脆さという欠点があります。
かなり実物メカの構造、形状を再現した精密模型という印象があり、今でも色あせることのない魅力があるのは確かです。
このカスタムの元のコクサイ製はCMCよりも数年ほど後発でしたが、見た目よりも作動重視の設計となっていました。なのでコクサイとCMCでは同じモデルながら明確にキャラクターの違いがありました。
サイドプレートの分割ラインやパーツ形状など実物との違いがありましたが、その代わりに作動性能は良かったのでプロップガンとして用いられるのは、コクサイ製ベースであることが多かったです。
コクサイは一時期モデルガンの生産をパッタリと止めてしまったことがあるのですが、それでもチーフスペシャルだけは継続生産していたのが印象的です。
それだけ傑作モデルガンであり、需要もあったのではないでしょうか。
タナカ Pre M36との比較。
もっとも新しいモデルガンであるタナカのM36シリーズにも小判型チーフが製品化されています。
これは「ジョーカー・モデル」と呼ばれる米映画プロップガンを模した仕様で発売されました。
4スクリュー、スクエアバットでハンマー形状や刻印類などナンバリング以前のチーフスペシャルを見事に再現しています。
プラスチック製M36で小判型サムピースを再現したのはタナカが初めてなので、それ以前は自分で作るか、ショップで作ってもらうか、という方法しかなかったのでした。
そういった時代背景から、このカスタムを製作したショップ(人?)の情熱が込められている気がします。
タナカでは標準的に採用されている金属製サイドプレートですが、それまではあまり採用されてなかったと思います。
メーカー純正でプラスチック製、金属製の双方のラインナップがある場合は流用という形でプラに金属サイドプレートを取り付ける、なんてアレンジもありました。
CMC M36は流用可能でしたが、コクサイは生産時期によって部品形状が異なるため、流用可否の判断が難しかったです。
ショップからチューンアップパーツとして金属サイドプレートが発売されたりもしました。
重量増と剛性確保という利点もありつつ、プラと金属の素材の違いが見た目の一体感を失うという側面もありました。
このあたりは現在でも好みが分かれるところかと思います。
ニューナンブ改との比較
コクサイM60ベースのニューナンブ改です。初期タイプの51mm銃身をモチーフに外観カスタムされています。
ニューナンブM60は38スペシャル5連発DAでチーフを参考に国産リボルバーとして開発されたと言われています。
なので並べて見ると、かなりソックリであることが分かります。
実際には寸法や部品形状などだいぶ異なるそうですが、基本構造・構成はS&W Jフレームは同じように見えます。
JP装備はニューナンブが王道・本筋である、と言いたいところですが、現実世界での後継モデルは「S&W M37 チーフスペシャルエアウェイト」、「S&W M360J サクラ」と変遷しています。
つまり結局のところ、JP装備はS&W チーフスペシャル直系の子孫に引き継がれているというのが現状なのでした。
面白いのが、M360Jが「S&Wが作ったニューナンブ」みたいな見た目に行きついたところですかね。
日本人の体格や使用頻度や携行時の負担軽減など突き詰めていくと、同じ感じになっていくのかもしれません。
ニューナンブは既に生産中止から何年も経ち、順次引退・廃棄の道を辿っているとのことですが、一般人にはその状況を見とどけることはできません。
たまに専門雑誌で特集してほしいなーと思います。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。