2024年10月04日

フェス!氷川丸!

フェス!氷川丸!
"MGC Woodman Sport Hikawamaru Memorial 1982"

フェスというと現在では音楽ライブを始め、飲食やホビーなど様々なジャンルのイベントとして確立された名称かと思います。
はるか数十年前の昭和の時代。なんと既にモデルガンのフェスが存在したのです。
そのフェスの正体は横浜の山下公園に停泊保存されている氷川丸の船上で開かれたMGC主催の『横浜モデルガンフェスティバル』というイベントです。
MGC創立20周年を記念して1979年に第1回が開催され、年1回ずつ1982年の最終回まで計4回が開催されました。
相当数の観客が訪れ、ショーや物販はもちろん、甲板でのモデルガン発火など盛りだくさんのイベントだったようです。
昭和の時代に「フェスへ行こう」みたいな言葉は無かったと思いますが、こうしたイベントが行われていたのはすごいことで、MGCには先見の明があったということではないでしょうか。
氷川丸フェスティバルが無くなった後もMGC主催による類似のイベントが新宿センタービル、後楽園ホール、東京タワーボウリング場、日比谷シティなどで開催されていました。開催規模の大小はあったと思いますが、どのイベントも盛況だったと思います。
いにしえのこうしたイベントに今でも様々な想い出を持っている当時のマニアたちは多いかと思います。
「横浜モデルガンフェスティバル」と正式名称を言ってもピンと来ないかもしれませんが「氷川丸」というキーワードで思わず感慨深くなる方も多いのではないでしょうか。

MGC創設者の神保勉氏の回顧録によると昭和30年代に既に有楽町のデパートで展示会みたいのを実施していたそうですし、メーカー機関誌の発行やプロップガン提供、映画スターによるプロモーション等も積極的に行っていたという歴史を鑑みると、広報活動などの戦略は他メーカーよりも得意としていたのだと思います。
ポスターやパッケージのイラストとかもカッコ良かったですよね。

現在はモデルガンメーカー主導のイベントはほとんどありませんが、ショップ等の有志によってミリタリー系の総合的なイベントは存在します。

さて、画像のウッズマンについて取り上げていきます。
これは氷川丸フェス最終回を記念して販売された数種の限定モデルガンです。

フェス!氷川丸!
記念モデルはこのような"HIKAWA MEMORIAL '82"という刻印が入っています。
記念刻印の他にノーマル品との違いはほとんどありませんが、ノーマルのウッズマンはスライド右側に刻印が無いため、ちょっと豪華になった感じがあって気に入っています。
他にも氷川丸記念モデルは何種かあり、全てにこの刻印が入っています。
確か刻印の他に特別仕様となっていたのはメタルブルー仕様のM31RSとGM5、サテンフィニッシュ仕様のパイソンあたりがあったと思います。

このウッズマンはもちろん氷川丸で購入、、、、したわけではなく、実は後日MGC新宿店で購入したものです。

現在では希少価値があるかもしれない?氷川丸モデルですが、来場できないマニアたちのために会場外での販売を想定していたのか、はたまた作りすぎて売れ残ったのかは分かりませんが、開催後にしばらくの間、MGCボンドショップで売られていました。

ただ、新宿店ではMGC純正品を販売するカウンターではなく、店舗内に併設された「ワールドモデルガンショップ」なる謎のカウンターで販売されていたのが印象的です。

通常品との差別化なのか、特価品として販売するための措置なのか、会場限定品として販売したことによる建前なのか、その理由は今となっては知る由もないですが、何十年も前のことなのに妙に記憶に刻まれています。

記憶ではGM5メタルブルーは通常品が青々としているのに対し、氷川丸モデルは虹色っぽく青みが足りなかった気がします。
氷川丸モデルはワールドモデルガンショップで通常品よりも安い特価で販売されていたので、当時は同じメタルブルーなら氷川丸モデルの方が得だよなーと思って眺めていました。
メタルブルー自体が当時に出始めたばかりの仕上げで、氷川丸モデルはその最初期の製造であることから表面層が特に劣化しやすい傾向にあったようで、メタルブルーのパイロットモデルであった可能性も考えられますね。

フェス!氷川丸!

このウッズマンを購入した頃のニュー新宿店は雑居ビルに複数フロアに渡って店舗が展開されており、フロアによってハンドガン、長物、パーツというように分かれていたと思います。
その後、徐々にフロアは縮小され、1994年のMGC解散後もしばらく営業していましたが、最終期は1フロアのみの営業になっていました。

確か2Fの奥に存在した「ワールドモデルガンショップ」はモデルガン全盛期の時代の「大人の事情」により存在していたような気がします。
当時、モデルガン業界はMGC・WAとその他のメーカーとの対立構造となっており、それは過去からの経緯やしがらみがあったようです。

MGCは原則として直営店(ボンドショップ)で自社製品のみを販売する、という姿勢を強く打ち出していました。
提携していたWAでさえも、店舗内で便宜上「別ショップ」として併設されているカウンターでしか購入することができない、という徹底ぶりでした。
(新宿店にはWAが併設されていなかったので、WA併設の渋谷か横浜に行く必要がありました)
一方で店舗が無い地域への配慮から通販を強化したり、関西方面は「やまもと」を代理店として販売を託し、一般の玩具店でもカートリッジとのセット販売(ボンドショップではカートは別売りだった)に限り、卸ルートを設けるなど、ある程度柔軟な対応もしていたようです。

一方で他社製品の販売についてはかなり消極的であったと思いますが、「ワールドモデルガンショップ」という謎の独立ショップに店舗内を間借りさせるというテイで、他社製品を販売していました。
そんな中にMGC製なのになぜか氷川丸モデルがあったというわけです。あとMGC製品をベースとしたカスタム(GM5のエングレーブ等)もここで売られていました。

おそらく通常店舗の正規カウンターでの「一定の品質で標準モデルを販売する」という「メーカー純血度」にこだわりがすごくあったと感じる部分です。

その後、MGC通販が「ダイヤルAA」という気軽に利用できる形態へと変わる際に他メーカー品や輸入アクセサリなども商品に追加されるなど、徐々に路線変更されていきました。
それを考えるとワールドモデルガンショップはMGCの販売戦略の実験形態だったのかな、とも思います。

のちにMGCは「ニューMGCは販売に特化して独立した別会社」ということをアピールしつつ、徐々に他メーカー品の併売を広げていった感じでした。
対立重視から共存重視にシフトしたのかな、という風にも感じられます。

フェス!氷川丸!

MGCウッズマンはパッケージが発泡スチロールむき出し、という特徴的なものです。
ABS樹脂モデル第1号のMGC SIG SP47/8も似たようなパッケージですが、いちおう外箱に相当するボール紙の表紙で包まれているので、ウッズマンより高級感?があります。

ウッズマンは画像のように上蓋に直接モデル名とSPGのシールが貼られているだけ、というシンプルな感じです。

フェス!氷川丸!
なぜこんなパッケージなのか?コスト節約なのか?22口径モデルだからあえてチープな演出なのか?等々を考えてしまうのですが、、実はこれが理由なんじゃ?という部分もあります。

そのヒントは実物の本国アメリカのコルト社にありました。。(完全に偏見のある独自意見です)

フェス!氷川丸!
【参考画像】
海外サイトで見つけた実物ウッズマンのパッケージです。

なんか、、、似てる!!!MGCに!!!
(箱の中のカットとか全然違いますが、上下が発泡スチロールという点のみ注目)

コルト社のパッケージは年代によって異なるのと、多くの時代を経営危機に襲われていて仕様が一定ではないのですが、一例としてこんなパッケージがあったのです。

発泡スチロールの上下で挟み込むだけの箱にボール紙の表皮がある、といった感じのパッケージでした。
MGCウッズマンよりMGC SIGに近い構成かと思いますが、この白い発泡スチロールの箱に着想を得てパッケージをデザインした、という可能性もあると思っています。

考えてみると多くのモデルガンの外箱は発泡スチロールの下箱に製品名などを印刷した上蓋という構成が一番多いかと思います。
実のところ、ウッズマンのように上下が発泡スチロールのパッケージって、標準的な紙が上蓋のパッケージとそこまでコストの差が無いというか、上蓋の分の発泡スチロール用の型が必要になることから、同等か、むしろ高いのではないか?とまで考えてしまいます。

他製品で同様のパッケージをあまり見かけないことを考えると、MGCウッズマンのパッケージは何か特別なもの、という解釈というか妄想が頭の中を駆け巡ります。。

いろんな謎がありますが、当時のMGCの発想力・企画力ってすさまじいものがありますね。。

** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/







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