2024年11月11日
LではなくてCです。ミリポリより

"HWS Military & Police Pre M10 2inch"
最近何度か取り上げている「ベイビーわるきゅーれ」シリーズは近代セミオートが活躍するイメージの作品ですが、テレビ連ドラ「水ドラ25 ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」では稀にクラシカルなプロップガンが登場します。
組織内で裏切り者を始末する「粛正さん」なる役割のエージェント、日野(柄本時生)がミリタリーポリス(ミリポリ)の2インチを使用しています。
この「日野仕様」は5スクリュー、テーパーバレルというオールドタイプのプレM10ミリポリで、ハートフォード(HWS)製のモデルガンをベースにしていると思われます。
ほぼHWSノーマルに近い仕様ですが、ハンマーがビクトリータイプからM19タイプのスパーを細くしたものに換装されています。
偶然ですが、私の手持ちHWSミリポリも似たような仕様になっています。
これは元のビクトリータイプのハンマーにクラックが入っていて、仕方なくCMC M19のハンマーを流用したものです。
どうせならフックタイプに整形したかったのですが、削るだけでは変身不可能ということがわかり、中途半端に削った状態で仕方なく取り付けています。

近年のモデルガンにおいてフックタイプハンマーはZEKEミリポリに採用されているのみで、あとは50年くらい前の国際産業の初代ミリポリ(亜鉛金属製)か六研ミリポリ(真鍮製)が採用しているくらいかと思います。
フックハンマー、独特な形状でカッコ良いんですが、あまり製品化されないのは採用モデルが少ないからでしょうか。。
2インチ、半月フロントサイト、スクエアバットという仕様のミリポリは映画「刑事ジョンブック 目撃者」で主人公ジョン刑事(ハリソンフォード)が使用していたのが有名で多くのファンがいると思います。
モデルガンでは国際産業改めコクサイのABS樹脂製メタルフィニッシュの製品が1983年に発売されました。
オールドタイプっぽくはあったものの、バレルがテーパーでなくストレートだったり、M19共用のためにカウンターボアードの長いシリンダーだったり、というミリポリでは実在しない仕様になっていたりもしましたが、私は発売当初からずっと好きなモデルガンです。

「太陽にほえろ!」ではマミー刑事(長谷直美)がメタルフィニッシュのまま使用し、非常に印象深いプロップガンでした。
ビッグショットの納富氏が月刊Gun誌の記事でミリポリ2インチが「お気に入り」というコメントがあったりしましたが、ニューナンブ風など、リアルなプロップガンの台頭により、ローマン以降の刑事制式プロップガンにはなり損ねた感はあります。


左:旭工房製、右:HWS製
その昔、コクサイM10では再現されていない部分をリアルにモディファイした旭工房製カスタムが発売されていました。
これはHWSが製品化するよりもずっと前の作品で、画像の個体は90年代後半から2000年代前半くらいの製作と記憶しています。
バレルの作り変え、5スクリュー化、刻印の打ち直し、シリンダー短縮、カウンターボア廃止、戦前タイプのサムピースなどシンプルな見た目ながら、かなり加工箇所の多い手の込んだカスタムとなっています。
旭工房製とHWSを比較してみると、かなり近い仕様であることがわかります。
ちなみにバレルの口径表記が"38 S&W SPC. CTG."と忠実に再現されているのも見逃せない点です。
『コクサイでは"SPL"となっている刻印、実は"SPC"が正解』というのは旭工房カスタムを手にして初めて知ったことです。


ミリポリの2インチというと、やはりこのイメージなのですかね。
イチローナガタ氏のコレクションではグリップ底部が角ばっているダイヤモンドセンターグリップにシルバーのテイラー製グリップアダプターという仕様があり、Gun誌やモデルガンチャレンジャー誌で紹介されていたことを覚えている方も多いでしょう。
コクサイのミリポリを製品化する際に設計担当の方が渡米し、イチロー氏のコレクションを取材したことは有名なので、メーカー標準のプラグリの形状など、氏の所有モデルと同じ仕様になっていたと推察します。


せっかくなのでコクサイのノーマルも並べてみましょう。
左から、コクサイノーマル、コクサイベース旭工房、HWSです。
コクサイのノーマルバレルは太くて野暮ったいなんて思ってましたが、こうして並べてみてみるとそこまで気になりません。
コクサイのミリポリは1983年に登場してから生産終了まで見た目、仕上げ、構造、材質など地道に改良されているので、細かいバージョン違いはたくさんあります。
画像の個体はメッキではなくABS樹脂に艶消し塗装した2世代目くらいの製品です。
末期の製品はシリンダーが短くなったり、カートリッジが内部発火式になって全長が伸びたりしているので、完成度は高いと思います。



【参考】海外サイトで見つけた実物画像
実物のはずなのですが、なんかモデルガンっぽい?感じですね。。
バレル刻印が"SPC"となっているのがわかります。
洋書やネットなどを調べるとグリップ形状は底部が角ばっているものと丸まっているもの双方が確認できますが、丸い方が少し多いのかな、という印象です。
ただ、実物の世界ではグリップは消耗品として交換頻度も高いと言われているので、オリジナルがどれくらいの比率で存在するのか、ということまでは分かりませんでした。
個人的にはどっちも好きです。2インチで角底でもイチロー効果で刷り込みされているせいか、カッコ良く見えるんですよね。。
近年の「あぶない刑事」ではユージ(柴田恭兵)がミリポリ2インチを使用していますが、やや最近のタイプ(とは言っても実物で古いものは60年くらい昔のものが存在)で薄いリブ付きバレルにラウンドバットとなっています。
秘匿性・携帯性という意味ではラウンドバットの方が有利なのだと思います。
いずれ、タナカからも古いタイプのミリポリが出てくれると嬉しいのですが、なんとなくHWSとタナカで住み分けができているような気もするので、製品化は難しいかもしれないですね。。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。