2024年11月29日
ニューナンブ77ミリ風

"Kokusai M60 New Nambu Type Custom"
コクサイのモデルガン、M60チーフスペシャル・ステンレスをベースとしたニューナンブ風のカスタムです。
本物のニューナンブM60リボルバーは純日本製の警察装備です。新中央工業(現ミネベアミツミ)製で38スペシャル5連発のDAリボルバーでS&Wチーフを参考に設計されていると言われています。
街のお巡りさんが装備していることも多いですが、蓋つきホルスターで中身はほとんど見えません。身近でありながら一般市民はまず見ることが無いミステリアスな装備です。
余談ですが、かつて京橋の警察博物館に長らくニューナンブの本物が展示されていて(残念ながら撮影禁止のため記録なし)、何度か見学に行きました。サイズはチーフより一回り大きいのかな?という印象でした。
近年ではS&W M37エアウェイトやM360Jサクラなど輸入装備が台頭し、国内で内製する必要が無くなったことからニューナンブは生産中止になったようです。使用頻度が低く、急激に劣化するものでもないので、継続して装備されている感じですが、徐々に数は減っていくのだろうと推測します。
現在ではランヤードリングの付いたM37やM360JやJポリス(ニューナンブ風モデル)などのモデルガンが発売されていますが、かつてモデルガン業界は「日本の現行制式モデルは製品化しない」という暗黙のルールがあったと言われ、ニューナンブやゴールデンベアといったモデルが製品化されたことがありませんでした。

この個体の入手時期はかなり前ながら、カスタム箇所はバレルの他、グリップ、フレームトップ、リアサイト、サムピース、フレームラグ、シリンダーフルート、ハンマー、刻印など多岐に渡る当時としてはフルカスタムと言えるスペックとなっています。
コクサイM60がベースなので内部パーツにシルバー仕上げが残っていたり、とわずかな元の姿の名残があります。
中古入手のため、製作者不明ですが、前オーナーは「たぶん旭工房」と言っていました。
フルート加工のカタチとか、ちょっと旭工房と違う感じもしますが、新規作成バレルやエキストラクターロッドが旭工房っぽいので、最初のオーナーの特注か別のショップによる追加カスタマイズが入っている可能性もあります。
もはや確かめようもないので、その辺りは気にしていません。ただ、非常に全体的なフォルムがそれっぽくて格好良いので手放さずにずっと持っています。

コクサイベース(左)とHWS Jポリス(右)の比較
HWSは指かけ部が延長された後期タイプのグリップを再現しています。
カスタム扱いながら、セミ量産品という感じのHWSの登場により、プロップガンも一気にニューナンブ風が席巻するのかと思いきや、残念ながら、そうはなりませんでした。
なぜHWSがプロップガンに多用されていない、という理由は定かではありませんが、銃撃戦などアクションが刑事ドラマでは少なくなってきたのも一因ではないかと思っています。
とは言え、いつの時代もドラマや映画などで警察装備の登場シーンは多く、ニューナンブのプロップガン需要も高いと思います。
その昔、制作側は似たような形のモデルガンで代用したり、小道具担当が一品物として製作したり、といった形で長らくしのいできました。
1970年代から1980年代の日本作品における警察装備は刑事がローマン2インチ、制服は4インチ、みたいなシーンは非常に多く、その期間も長かったと思います。私もテレビで刑事ドラマを見るようになった時代はそんな感じでした。
それでも電着チーフやローマンを何となくニューナンブ風に見えるような外装にしてみたり、実際に採用されているであろう他機種のチーフやブローニングを持たせてみたり、と可能な限りの工夫も見られました。
1990年代初頭には「刑事貴族3」「俺たちルーキーコップ」「眠らない街・新宿鮫」とリアルな見た目のニューナンブ風プロップガンが活躍し始めました。
多くの作品でリアルなニューナンブ風プロップが活躍し始め、製作者も多数いたと思いますが、旭工房製が最も多かったのでは?という印象です。
モデルガンの世界も同様に、HWS Jポリスの登場前はショップか個人がカスタマイズすることでしかニューナンブ風のモデルガンを持つことができませんでした。
ベースモデルとしてはCMC製あるいはコクサイ製モデルガンのチーフが多くを占めていたと思います。
古くは愛知のキヨノアームズがCMCベースでカスタムを販売しており、中古入手した事がありました。
細部までカスタマイズされ、とても凝った造りでリアルでしたが、「ベースを削ってフォルムを整形していく」という手法だったらしくサイズ的には小ぶりな印象を受けました。
旧ブログで画像を載せていましたが、手放してしまったので既に手元にはありません。今考えると惜しいことをしました。。

キヨノアームズ同様、CMCチーフを土台にHWSが販売したJポリスもグリップ付近のフレーム肉盛りもあってボリュームアップしていますが、まだまだスマートな感じです。
左のコクサイベースはフレームトップが肉盛りされ上面もフラットに整形されているので、"ニューナンブらしさ"が強調されているように思います。
ということはHWSもフレームトップを盛れば、よりリアルなルックスになるのかもしれません。
個人的な印象としてはガスガンながらマルシンのポリスリボルバーが実は一番似ているのでは、という印象を持っています。
なのでチーフをベースにニューナンブ化するのは結構大変なことなのだと思います。。

「世界拳銃図鑑」のニューナンブ記載ページ。
とにかく記事など資料が少ないので、ちょっとでもニューナンブが載っているとすごく嬉しくなってしまいます。
だいたい、どの書籍も白黒の片面全体写真が載っている感じで詳細がつかみづらいのが難点です。
Gun誌で試作品とおぼしき77mmのカラー写真がありましたが、他にはニュース記事の通常点検や訓練シーンなどの、ちっちゃい写真を穴が開くほど見たりして、なんとか情報を知りたいと努力してました。
今回は書きたい内容が多すぎて長くなるので今回は77mmのみを取り上げていますが、いずれニューナンブ51mmについても資料・情報を整理して載せるつもりです。
◆◆◆




「太陽にほえろ!」でラガー刑事(渡辺徹)の登場初期(1981年)に登場したニューナンブ77mm風のプロップガンです。
MGCローマンをベースに3インチ程度にバレルが整形され、フロントサイト形状やダミーながらロッキングボルトを再現したニューナンブ改は当時としては画期的だったと思います。
発砲用と思われる電着式の戸井田工業製チーフも同様の外装カスタマイズが施されたものを併用していたようです。
ただニューナンブ改の活躍時期は短く、ラガー刑事の使用銃はMGCパイソン4インチに固定されました。前任のスニーカー刑事(山下真司)が末期に使用していたので、引き継いだ感じの印象です。
◆◆◆

「刑事貴族3」(1992)の吉本刑事(彦摩呂)が持つニューナンブ風プロップ。サイドプレートのラインよりコクサイがベースとなっていることが分かります。かなりリアルに再現されていますね。
「宝石箱や~」とは言ってない頃の彦摩呂さん、刑事貴族では若くてカッコいい刑事でしたよね。
上のラガーもそうですが、ハンマーコックの状態でトリガーガードに指を入れるのは超こわい!!と思ってしまいます。。俳優さんがついやってしまってる行動だと思うのですがヒヤヒヤします。
おそらく現在はアクション指導とかもしっかりと行っていると思いますが、トリガーガードに指が入ってるからNGとなるかどうか、というと、撮り直しの手間やロスを考えると見なかったことになってしまっているのかも。
こういうことを言葉にすると「細かいなぁ。素直に楽しみなよ。これだからガンマニアは。。」と思われてしまうので、声には出さないようにしています。
ただ得意分野や趣味のところは、どうしても気になってしまいますので、自分の中で消化するようにしてます。
◆◆◆




前回に引き続きの紹介となりますが、ニューナンブ77mm登場作品というと避けて通れないのが映画『駅Station』(1981)です。
実物が出てくるという異例かつ衝撃的な作品です。
主人公の警察官、英次(高倉健)が物語終盤で任務の為にニューナンブ77mmを使用します。
健さんの弾込めシーンはMGCローマン2インチ、その後に本職のニューナンブ装填シーン、そして健さんの発砲シーンはMGCローマン3インチ改と繋がります。
「太陽にほえろ!」と同じ東宝作品なので、ひょっとするとラガー仕様と同じかもしれません。
その他のシーンで1980年前後の「太陽にほえろ!」でロッキー刑事(木之元亮)が使用していたハイパト改に似たプロップガンも出てきたりします。
(冒頭の射場シーンや岡持ちに扮して潜入するシーンなど)
やはり東宝の小道具という共通点なのでしょうか。
映画にはプロップガン関係のクレジットが見当たらなかったので、詳細は不明です。。
これらは粗い手持ち映像を見た、私の個人的な見解なので、この見立てが必ずしも正しいとは限りませんので、話半分で流していただければ、と思います。
*** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月27日
V、V、ビクトリー

"Kokusai Military Police Victory Custom"
DAリボルバーの基本形のひとつ、SWミリタリーポリス、通称ミリポリはモデルガン、エアソフトガンで何種か製品化された人気モデルです。
なんと19世紀の1899年に原型が発売されたミリタリーポリスは"M1905"で既に現在の姿がほぼ完成されており、その後の長きに渡って改良が繰り返され現在に至ります。
その名前が示すとおり、軍用・警察用としての使用例が多く、中でもWW2禍の1942年から1944年に何十万丁も製造されたVシリアルの通称「ビクトリーモデル」はアメリカやイギリスの軍用として使用された他、戦後の日本の警察装備として貸与されたので非常に馴染みのあるモデルとなっています。
ビクトリーなどの軍用モデルにはランヤードリングが取り付けられているのが特徴で、外装もグリップも簡素な感じなものでした。
市販モデル(コマーシャルモデル)はピカピカなブルー仕上げでグリップもメダリオンとチェッカリングの入った豪華なものがついています。
日本において、1965年あたりに六研が亜鉛合金製モデルガンを発売したことが当時のGun誌に載っていました。(実物は見たことありません)
その後に六研にそっくりな国際産業製ミリポリが登場。1978年の銃刀法改正前後に国際が全面改良したニューミリポリを発売します。
非常に意外な事実なのですが、メーカー純正のカタログモデルでランヤードリングの付いた軍用ミリポリは、モデルガンではこの国際製ニューミリポリ(2代目ミリポリ)だけなのです。
ハートフォード(HWS)のミリポリは?と思うかもしれませんが、これはカスタム扱いで当初シリアル番号の入った限定生産品でした。その後も断続的に生産され、セミ市販モデルっぽい位置づけとなっていますが、正規カタログモデルではない感じかと思います。
1983年に国際産業改めコクサイはコマーシャルモデルのABS樹脂製ミリポリを発売し、これは大ヒット傑作もモデルガンとなりました。
コクサイとしては金属時代から通して、3代目のミリポリとなったわけですが、先代とは変わってコマーシャルモデルのみとなりました。

そこで、登場したのがハートフォード。1980年代中頃のカスタム品です。
あれ?そんな早くに発売されたっけ?と思う方もいるでしょうが、これはカスタムショップ時代のハートフォードが製作したコクサイ改ビクトリーモデルです。
義務教育の頃の私はランヤードリングのついたリボルバーにすごく憧れていて、Gun誌かCM誌の広告を見て、とにかく欲しくてたまらなくなりました。
小遣い銭を貯めてヘタクソな字で注文を書いた紙きれを入れて、現金書留でハートフォードに送りました。
実はその前に「ステージガン通販詐欺」という苦い被害経験があり(雑誌広告見て現金書留を送ったが商品が届かずじまい)、ショップ通販に対して疑いというかあきらめ半分といった思いで到着を待ってました。
案の定、ハートフォードからも中々商品が届くこともなく、何か月も経って「やっぱりか」とあきらめて忘れてしまいそうになったころ、ついに届いたので、すさまじく感激しました。
『ベースモデル(ミリポリの組立キット)調達困難ゆえ、製作が遅れましたことをお詫びいたします。
一度も督促することも無く、辛抱強く納品を待っていただいたことに感謝します』
みたいな内容のお詫びの手紙が入っていました。
いろいろと怖くて進捗状況が聞けなかっただけで一度も問い合わせの電話1本もできませんでしたが、ハートフォードというショップの誠実さを知り、この先の永遠の尊敬と信仰を堅く誓った記憶があります。
そんな感じで以降もちょいちょいショップ時代のハートフォードカスタムを購入していくのですが、最初がこのミリポリだった、という思い出話でした。
購入から既に40年くらい経っているので、だいぶ褪せてきていますが、今でも大切にしています。
コクサイABSミリポリにシルバーメッキを施した上にパーカーライズド風のメタルフィニッシュになっています。
フロントサイトは半月タイプに、ハンマーとエキストラクターロッドもビクトリー風に、ランヤードリングとスムーズ木製グリップが装着されています。
ダミーながら5スクリュー化もされています。
最初についていたカスタムハンマー(おそらく元のスパーは削り落とし、硬化パテ状のものでスパーを建造したもの)はスパー部が欠損し、間に合わせでノーマルのハンマーを少し加工して交換しました。
また、ランヤードリングも丸い輪っか状のものでしたが、これも後に交換しています。
まだ子供だったのでカスタムなのに遠慮せずバカスカ発火して遊んでましたが、メッキが剥がれることもなく、とてもタフなメッキ層だったのだと感心しています。

次に入手したビクトリーは旭工房製カスタムです。
社会人になって、少しだけ趣味にお金を掛けられるようになり、がんばれば(何かをガマンすれば)少し高めのショップカスタムを買えるようになりました。
このカスタムもコクサイABSミリポリがベースとなります。
カスタム内容はハートフォードとほぼ同様(同じビクトリーを目指しているから当たり前ですが)です。
さらにシリンダー短縮化、フォーシングコーン延長、カウンターボア廃止、フル刻印といった加工が追加となっています。
なぜかトリガーガードのシリンダーストップスクリューだけ無加工で付いていないので、結果的に4スクリュー仕様となっています。(おそらく実物にその仕様は存在しないと思います)
圧巻なのは至るところに入った刻印で、これを見ているだけで気分も上がってくるほどの素晴らしい加工です。
HWSやタナカからミリポリが発売されても、色褪せない魅力があるなー、としみじみ思ってます。

そしてある日、彗星の如く登場したハートフォード(HWS)のビクトリーモデル。
これは東京CMCのM19モデルガンの金型を引き継ぎ、リバイバル生産しているハートフォードだからこそ実現したセミ量産カスタムです。
M19をベースにしているとは言え、フレーム、バレル、シリンダー、ハンマー、サムピース他、ほとんどのパーツが新規設計となっている意欲作です。
もはやM19とは別製品と言っても良いのでは?というくらいのモデルガンです。
ビクトリーのモデルガンもここまで来たか!というほどの感動をもたらしてくれました。
ひょっとしたらショップカスタム時代にやりたかった事も全て詰め込んだのでは?と勝手に勘繰りたくなるほどの気合の入った製品です。
画像の個体はシリアル入りの初期生産物です。
ただ、残念なことにフレームのシリンダー脱落防止スタッドはCMC時代と同じ形(ちょっと変)のままなのです。後にこれは金属の別部品に改良されるので、現行品の方がリアルで格好良いです。
とは言え、発売直後にがんばって4インチと5インチを2丁買いそろえ、非常に気に入っていたので、新スタッドの改良品に買い替えてはいません。
個人的にはバレル刻印をもうちょっと小さくしてくれたら(現行はちょっと文字が大きいのが気になります)、買いなおす、ではなく2丁とも買い足してしまうかもしれません。。


3丁の比較。
上からコクサイ(ハートフォード改)、コクサイ(旭工房カスタム)、HWSです。
細かいところを見ていくと、いろいろ気になるところありますが、どれも非常に良くできていると思います。
面白いのが、やっぱりハートフォード製のショップカスタムとHWSオリジナル製品で何となく似ているところですね。
ミリポリもハイパトもそうですが、テーパーバレルというのはとても魅力がありますね。個人的な好みではあるかと思いますが、ストレートとテーパーなら間違いなくテーパーの方を選んでしまいます。

旭工房とHWSはバレル上にも刻印が入っています。
HWSのUSプロパティ刻印は後で入れてもらったものですが、これがあると軍用っぽさがグっと上がります。

左からHWS、コクサイ(旭工房カスタム)、コクサイ(ハートフォード改)です。
旭工房はグリップフレーム下部のシリアル刻印も再現されています。すごいですね。

トリガーガードのスクリュー。
ハートフォード改はダミースクリューです。MGCハイパトや44マグナムと同じですね。
旭工房には入ってないので、そのうちダミースクリューを打っておきたいな、と思いながら何十年も経ってしまいました。不器用なので躊躇してしまいます。。
HWSは何と実物どおりの構造で、トリガーガードのスクリュー穴からプランジャーとスプリングを入れた上でスクリューでフタをする感じで固定します。
この構造を始めてみた時、とても感動しました。


【参考】海外サイトで見つけた実物画像
これは戦前の骨董品ながら良好な状態が保たれている実物です。
ソックリですね。なんか日本のモデルガンって本当に良く出来てるんだなーと思います。
やはりHWSにはこんな感じでバレルのスモール刻印を再現してほしいですね。それで全てが完璧になります。
◆◆◆




ミリポリのビクトリーのプロップガンが出てるシーンなんてあったかなーと記憶を紐解いてみると、ひとつだけ思い出した作品がありました。
映画『駅 Station』(1981)のワンシーンです。
ミリポリのプロップガン?
いいえ、どう見ても本物です。
射撃オリンピック選手の警察官である主人公の英次(高倉健)が射撃場でミリポリを撃っている場面。
激しいリコイルによりランヤードリングが一瞬見えます。
ミリポリは本職による実射を手元のアップで撮影したシーンで始まりますが、その直後に健さんのシーンでMGCローマン4インチにすり替わっています。ただ、これは、よーく見てようやく気付くレベルです。
(ただよく見直してみるとグリップラインからハイパト改ミリポリorマスターピース風にも見えます)
もちろんこの作品は警察協力のもと本職の射撃シーンを撮影したそうですが、このような撮影方法は現在では無理(困難と思われる)なのだそうです。
聞いた話では「当たり前の話だが、日本の銃関連の法運用は厳しい。映画作品の一部として射撃シーンを使用した場合、本来の目的外で射撃したと見なされ違法と解釈されるリスクがある」とのこと。
所持許可を保有する俳優さんが自前の銃で射撃した場面であっても、フィクション作品に映像を流用した場合にスタッフが呼び出しを受けて厳重注意を受けたり、実射シーンがカットされたりした事例も結構あるそうで。
苦肉の策で未装填の銃を構えて手元のアップのみを撮影し、銃声を編集で足したりとか、射場は本物を使うが銃は電着銃を使うとか、アイディアと技術で何とかシーンを成立させているそうです。そういえばそんなシーンはいくつか思い浮かびます。。
駅Stationもこのシーンをカットせずに公開できたのは制作陣の努力と当時のご時世もあるのではないかと思います。もっとその昔は警察から本物を借用して使用してた、なんてエピソードはイラコバさんの映画記事にも紹介されていたのを覚えています。
カースタントなども最近では法令遵守が厳しくなってきていて、これは警察からのお咎めがあるというよりも視聴者クレームによる自主的な規制も多くなったみたいです。
銀行強盗の犯人がシートベルトをして信号を守り、黄線をはみ出ない、みたいなヘンテコなシーンがあるのはそういった事情があるそう。
つまり、過去から現代になるにつれて、色々なものがどんどん厳しくなってきたようなのです。
今ではCGやAIなど技術が進んでいるので、実写に拘わらなくてもリアルなシーンを作ることができるのかもしれませんね。
私はアナログな実写撮影の作品の方が好きですが、今のご時世は難しいのだと思います。。
西部警察やマッドポリスなんて、現代のコンプライアンスのレベルでは地上波では絶対放映できないような気がします。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月25日
泉に落としたローマン

"MGC Lawman"
前回、MGCローマンについて取り上げようと色々と手持ちのローマンをあさっていたところ、金のローマンを発見しました。
これは元々シルバーだったローマンを知人に預けたところ、ゴールドになって帰ってきた、というものです。
『あなたが落としたのは金のローマンですか、銀のローマンですか』
『いいえ、普通のローマンです』
『正直者のあなたには金のローマンを差し上げましょう』
というような、やり取りがあったわけではありません。

このローマン、もとはMGC純正のシルバーメッキだったのですが、当時のメッキは非常に弱く、発火しようものならすぐに剥がれたり、黒く変色してしまいました。
私も買ってすぐに発火して遊んだら、わずか数発で悲惨な、まだら模様になってしまい、メッキなので補修できず、カスタム扱いだったので補修パーツ販売もなく、、といった状況で、途方に暮れて長らく封印していたのです。
それから何年か、何十年後か、、だいぶ経ってから職場で「プラモデルが趣味で塗装が得意」という人に会ったのです。
雑談するうちに
『プラスチックのメッキって剥がれてボロボロになったら終わりですよね』
なんてことを言っていたら
『いえ、分からないように修正できますよ。やってあげましょうか』
みたいな感じになって、ボロボロのローマンを預けてみました。
そして帰ってきたのが、このローマン。
なんか金属モデルガンみたいな見た目になってビックリしましたが、確かに元のボロボロな姿とは違って生まれ変わりました。

なぜゴールドに塗装したかを聞くと
『モデルガンって金色に塗るのが正しいんですよね?』
と真っ直ぐな表情で答えてくれました。
どうやら、元のシルバーメッキもゴールドが退色して、そうなったのだと解釈したようでした。
(確かにちょっと黄色っぽいメッキではありました)
この方はモデルガン趣味は一切無く、過去に読んだ漫画か何かで『モデルガンは金色じゃないとダメ』という知識を得たとのこと。
こういうところからモデルガンってやっぱりマイナーな趣味だ、という事を思い知りますねー。
そんなわけで、せっかく綺麗に塗ってくれたので、そのままにして現在に至ります。。
トリガーガード内側などに微かにシルバーであった痕跡が伺えます。
あと、シルバーモデル用の木目調プラスチックグリップ(純正ながらマーブル調になっている)も健在です。
モデルガンの塗装が新鮮で楽しかったらしく、
『他にも何か塗らせてくださいー』
と言われたので、ゴールドが落ちてシルバーっぽく退色した金属モデルガンをいくつか補修してもらいました。
結構丈夫な塗装なのか、かなり長持ちしている感じはあります。
どんな塗装だったのか詳しくは聞いてないのですが、なんかこれくらいの塗装は朝飯前みたいな感じだったので、モデラーの方なら色んなノウハウがあるのでしょうね。

カタログのシルバーローマン。
元はこんな感じでした。
現物はもうちょっと黄色っぽいニッケル調の色目だったと記憶しています。
ゴールドのプラスチックモデルガンはあまり存在しませんが(フェイスオフの1911くらい?)、たまにはこんなのも面白いかな、なんて思います。
***
MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月22日
ローマンは何丁あっても良いですからね

"MGC & CAW LAWMAN 2inch"
クラフトアップル(CAW)から久々にMGCローマンのリバイバルが発売されましたが、約100丁程度の生産数ということもあって即完売となってしまいました。
私は最初その情報を知らず、友人から「売り切れ必至」と聞き、急いで確認したところ値引き販売しているショップは全て売り切れ。定価販売のショップに1丁のみ在庫があるというので、勢いで購入してしまいました。
「むかし5000円で売ってたローマンを3万円で買うのか。。」という、単に自分のフトコロ事情が良くないことを棚に上げてボヤきつつも、やはり買ってしまうんですよね。。
毎回資金が足りず、やむなく手持ちのコレクションを処分して購入しているような、自転車操業?の私にとって、最近のモデルガン価格はかなりダメージを受けます。
それでも、買うのをやめてしまうと、メーカーはモデルガンを作ってくれなくなりそうで、なんとか資金調達してがんばってます。
やっぱり新品で買うのは気持ち良いですからね。

MGCローマンの発売は1975年。モデルガンのエントリーモデルとして長らく発売されていた傑作モデルガンで、安さ、丈夫さ、動作の確実さ、が全て素晴らしいので愛好家はもちろん、プロップガンとしても活躍したのは多くの方がご存じかと思います。
画像の個体は「あぶない刑事」のユージ(柴田恭兵)の劇中仕様をイメージしてABSローマンに木製グリップを装着したものです。


まず、ABSのMGCローマンについて書きます。
子供の頃、私が初めてローマンを買ったのはMGC渋谷本店でした。
ファイアーセールなる特売期間に3割引だったのを覚えています。
既にシュラウド付きのニューローマンが売っていた気がしますが、迷わず旧ローマンを買いました。
(本当はドックと同じシルバーフレームM59が欲しかったのですが、高くて断念。かなり後に購入。。)
当時の渋谷本店には「太陽にほえろ!」のスコッチ刑事(沖雅也)がローマン2インチを、ロッキー刑事(木之元亮)が4インチを持っている大きな白黒のスチール写真パネルが飾られており、これがとても格好良かったのです。
(おそらく第274話「帰ってきたスコッチ刑事」の1シーン)
MGCのすごいところは旧ローマンをずーーっと売っていたことです。
これはプロップガンとしての需要があったのも一因だと思いますが、勝手な推測ではニューローマンより旧ローマンの方が売れていたのでは無いかと思ってます。
なのでローマンを買ってバカスカ発火して、ボロボロになって、またローマンを買う、なんて感じで数丁は買った記憶があります。
最初のは大きい文字のSPG刻印で、プラスネジ。その次は小さい文字のSPG刻印でマイナスネジ、といった感じでちょいちょい改良されていました。
画像の個体もその2種類となっています。
パッケージ(箱)も上蓋のデザインは同じながら、生産時期に違いが見られます。
画像にはありませんが、もっとも初期の下箱は発泡スチロールに起毛風の加工が施されていました。
かなり長い期間製造されていたことが箱からも分かります。
その後、ニューローマンは組立キットが発売され、さらにヘビーウェイト樹脂版も発売。
いよいよ旧ローマンは絶版か。。と思っていたら「ローマン・クラシック」を名乗り、ヘビーウェイトで再登場しました。

上がCAW、下がMGC(HW)です。
ヘビーウェイト樹脂(HW)のMGCローマンはMGC末期の製品です。
この時代はエアソフトガンブームによりモデルガン人気が下火になっていた頃ですが、バブル景気のあたりだったこともあったのと、MGC自体は「市場ニーズがあるのでエアソフトガンは作ってるが、ウチはモデルガンメーカーだ」というプライドがあった感じなので(社名にモデルガンって入ってるし)、ローマンクラシックはバレルもリアル刻印になり、トリガー&ハンマーの仕上げも綺麗になって登場したのでした。
「ローマン・クラシック」という名前はこの辺りから普通に使われるようになったと思います。
CAWローマンはクラフトアップル系列のマイズファクトリーが生産しています。製品仕様はMGC時代と大きく変わりありませんが、リアルな刻印になっているのが特徴です。
作動は最初は若干渋い感じがありますが、これはCAW製品の特徴という感じもします。
法律や規制によって柔らかい金属(亜鉛合金)を多用しているので、購入後の摩耗に余裕を持たせるためなのではないか、と理解しています。
MGC時代は製造組立後に工場内で入念な作動調整を実施していたと聞くので、「箱出しで調子良いのがMGC」という評判と名声を得たと思います。
当時は直営店・通販で修理や交換部品販売などが充実していたから、という背景もあったのではないでしょうか。

その昔、モデルガンには豊富なアクセサリー類が準備されていて、様々なドレスアップを楽しむことができました。
木製グリップ、サイレンサー、ホルスターというのは現在でも定番アクセサリーなのですが、当時はとても安価だったのが印象的です。
中には数百円で売っていた木製グリップもあったほどです。ただ、現在ほどは形状や加工がちゃんとしてないのも当たり前で、ローマンのグリップも初期のものは実物とはかけ離れたデザインをしてた上、取り付けてもカタカタと固定が甘かったり、フレームからはみ出たり、寸足らずだったり、みたいな感じのものがたくさんありました。
ただ、とても安かったので、そこは仕方ないと割り切るというか、当時はそういうものだ、と思ってました。
器用なマニアはキッチリと修正して格好良く仕上げていたと思います。
そんな感じの時代だったのでJACとかで売っている今よりドル高の時代の高価な輸入グリップに憧れたりしたものです。
今では日本製の木製グリップの方が実物より出来が良いなんて評判もあるほどなので、変な形のカタカタグリップはもはや過去のものですね。
MGCも後期のニューMGC名義のアクセサリーは完璧な形状、フィッティングの素晴らしい木製グリップとなっていました。
なので長年に渡り、買っては壊し、買い直す、買い足す、手放す、なんてことを続けていたら、いくつかの木製グリップが手元に残りました。。どれも想い出があり、ヘタクソな加工をして台無しになってる部分もあったりしていながらも捨てられずに保存しています。

MGCの先見性というかすごいところ。この時代にバーコードによる商品管理をしていたことです。
もちろんバーコードというのはMGCが開発したものでは無いのですが、当時はまだ工場や小売店でもそんなに普及していなかったと思います。
当時は何も理解していませんでしたが、大人になって改めていろいろ見直してみると、新発見がありますね。
◆◆◆
さて、CAWローマンは何が違うのか??買う価値はあるのか??と自問自答したときに、もっとも気になったのがバレル周りのディテールアップでした。
そこでその辺りの比較をしてみましょう。
《バレルの比較》:上からMGC(ABS),MGC(HW),CAW


《バレル刻印の比較》:上からMGC(ABS),MGC(HW),CAW






MGC時代、ABS⇒HWになったところで既に刻印はリアル化されています。CAWはMGCとは異なる後入れ刻印ながら、それを引き継いでいる感じです。エジェクターロッド周りなども洗練されており、CAWは「MGCローマンクラシック(HW)のリバイバル」として素晴らしいモデルガンであることは間違いありません。
価格的にはだいぶ上がってしまったのが痛く感じますが、時代も事情も違うので比較してもあまり意味が無いかと思います。
◆◆◆
ところで、本当に現行CAWローマンは高いのか、もうちょっと考察してみることにします。
統計で発表されている大学初任給とローマン定価から割り出した「ローマン割合」を計算してみましょう。
MGCローマンが発売された1975年の大卒初任給と比べてみます。
・大卒初任給 :89300円
・タクシー初乗り : 280円
・たばこ(ハイライト): 80円
・MGCローマン : 5000円
・ローマン割合 : 5.6%
私が初めて買ったのは1982年頃だと思うのでその年も見てみます。
(子供だったので働いてませんが)
・大卒初任給 :127200円
・タクシー初乗り : 430円
・たばこ(ハイライト): 150円
・MGCローマン : 5000円
・ローマン割合 : 3.9%
ちなみに私はファイアーセールで3割引き3500円で買いました。。
そして現在(2024年)になるとこんな感じに。
・大卒初任給 :226341円
・タクシー初乗り : 420円
・たばこ(ハイライト): 520円
・CAWローマン : 31680円(税込定価)
・ローマン割合 : 14.0%
やはり、高いですね。。
1975年当時の割合(5.6%)だと定価12675円くらいになります。
だからと言って、モデルガンの価格が不当に高いかというとそうでは無いと思います。
現在の様々な物価高は原油、原料、流通、人件費の高騰等、様々な原因があります。
そしてモデルガンに関しては、当時と圧倒的に生産数が違う、という点もあります。
MGC時代は何万丁とモデルガンが売れていたそうですから、設計コストの回収や工場での大規模生産を考えても薄利多売で利益を得られたと思います。
100丁くらいの生産では対抗するのは難しいので、少しでも利益を得て赤字を出さないためには価格が上がってしまうのは仕方ないのではないかと考えられます。
そんな状況でモデルガンを購入し続けるのは大変なことですが、誰でも少しは趣味を持ったり、ちょっとした贅沢をしないと、、なんて自分の中で言い訳しながら買ってます。
◆◆◆


プロップガンとしてのローマンは発売時からすぐに活躍し、映画・ドラマでは警察制式装備として採用されているかのごとく、あらゆる場面で登場していました。
現在の作品でも見かけるほど、長きに渡って活躍しています。
その昔、MGCはプロップガン(当時はステージガン)をメーカーとして制作会社に提供していました。
これはMGCの機関誌記事からの引用ですが、「リボルバーのみ提供」とあるので、ハイパトやローマンを指すのだと思います。
1972年登場のハイパト(ハイウェイパトロールマン41)は1971年の銃刀法改正の直後に登場したMGC製モデルガンです。当時は「(電着を除いて)唯一の合法プロップガン」といった感じの位置づけだったので、銃撃シーンはハイパトばかり、という時代がありました。
1975年登場のローマンはシュラウド無し・固定サイトというオーソドックスなスタイルが警察装備として注目され、「刑事は2インチ、制服は4インチ」という定番プロップガンとして普及しました。
銃火器類をマニアックに凝った一部作品を除いて、警察装備はローマンで固める、という時代が長く続くことになったのでした。
実際の装備としても採用されているCMCチーフや国際ミリポリが後に発売された後もローマンの天下は続くことになります。これは小林メカ、と言われるMGC(当時)のタニコバさんの設計による丈夫で確実なアクションがローマンの基本性能が非常に高かったことが要因だと思います。
ローマンベースのニューナンブ風プロップやCRS風プロップなども製作されました。


太陽にほえろ!第217話「スコッチ刑事登場!」(1976年)より。
この前話までは前任のテキサス刑事(勝野洋)はじめ、刑事たちはMGCハイパト41あるいはハイパトベースのカスタムを使用していました。
なので、新任のスコッチ刑事(沖雅也)が新製品のMGCローマン2インチを持って登場したのは衝撃的だったと思います。
(私はリアルタイムでは見ていなくて、再放送で見たのが初めてです。。)
画像のシーンは先輩ゴリさん(竜雷太)とスコッチが署内の射場で対峙する場面です。
ゴリさんは3.5インチのハイパトの方が2インチのローマンよりも正確な射撃ができる、とスコッチを諭します。
ゴリさん「(ハイパトとローマンを並べて)この銃身の3センチの差が分かるか?」
スコッチ「銃身が3センチ長い分だけ拳銃を抜くのが遅れる」
ゴリさん「それだけか?それだけだと思うなら撃ってみろ。弾はいくらでもあるぞ」
(前話までゴリさんが2インチのハイパト改を使っていたことは忘れましょう)
(「弾はいくらでもあるぞ」とハイパトとローマンが同じ口径であるような表現も見なかったことにしましょう)
この時のスコッチは「過去の事件で自分が早く撃たなかったせいで目の前で先輩刑事が殉職した」というトラウマを抱えている設定で、より銃身が短い方が早撃ちができる、と強く主張していたのでした。
なので、初登場のローマンとともに非常にインパクトがあったと思います。
この時代以降は刑事といえばローマン2インチ、というプロップガンが当たり前になっていくので、ハイパトからローマンへの移行を感じさせる非常に印象的な話ではないでしょうか。
ただ、スコッチ刑事がローマンを使用したのは初期のみで、以降はトルーパー6インチ、44マグナム8 3/8インチとどんどん大きく、長い装備を身に着けるようになりました。
トラウマを解消した、ということなのだと解釈しています。。
◆◆◆
そんなローマン2インチですが、「実物はレア銃だ」という話を聞いたことがあります。
確かにシュラウド付きのニューローマンは月刊Gun誌で特集されたものの、旧ローマンの記事は記憶にありませんし、Gun図鑑みたいな本でも、ほとんど見かけないような印象です。
そこでいつものようにネットで探してみました。
その前にまずMGCの画像。


MGC(ABS)の左右画像


【参考】海外サイトで見つけた実物画像
こっちが実物なのですが、MGCに似すぎててビックリします。
画像なのでサイズ感までは分かりませんが、サイドプレートの分割ラインとか詳細を除けば全体的にMGCの再現度が高いことが分かりますね。
CAWローマンでは、実物どおり少し短いエキストラクターロッド(エジェクターロッド)を再現しています。
これでさらにリアル感がアップした感じです。
CAWローマンはMGCリバイバルながら進化を遂げていて、高かったけど買って良かったなーと思えるモデルガンでした。
ここで私の勝手な分析というか妄想なのですが、
「なぜMGCローマンの刻印は2インチだけ”LAWMAN MKIII”と一列表記なのか」、
という疑問に対する答えです。
おそらく設計当時は不鮮明な写真等で刻印が把握しづらく、実物の2インチの刻印が一列表記に見えた(誤認した)のではないでしょうか。
実は私が実物の画像をパっと見た時に「初期のABSと同じ一列刻印だ。MGCはリアルだったんだなー」と一回誤認した後、よく見たらHWと同じ二列刻印だった。という体験をしたからなのです。
もちろんこれは私の勝手な偏見に基づく考察なので、流してください。。
そんな感じでMGCは思ったよりもリアル、ということが今更ながら分かったわけですが、今後もCAWには不定期で良いのでリバイバル生産をしてほしいと思います。
サイドプレート周りも改良して決定版に進化してほしい、なんて思ってしまいますが、そしたら価格はもっと上がってしまいますね。。
***
MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月20日
JP謎グリップ

"Kokusai M36 JP Custom"
コクサイM36モデルガンベースのチーフスペシャル JP(Japan Police)風カスタムです。
かなり昔に中古入手した外観カスタムとなります。
ベースは亜鉛合金製の金型共用となった初期の頃のヘビーウェイト樹脂製のようです。
カスタム箇所としては小判型サムピース、ランヤードリングの取付と刻印の打ち直し、ノーマルのプラグリップを加工したJP風カスタムグリップです。

実際の日本警察装備は謎に包まれているので、このような仕様が実在したのかは不明です。
本やネットで調べても、ほとんど情報を得ることはできませんでした。
グリップに関しては、過去のニュース報道写真・映像などでプラ製と思われるS&W非純正グリップを見た記憶はあります。
あくまで真偽不明の伝聞情報ですが、S&Wなど輸入装備の木製グリップが経年劣化や破損により交換が必要になった場合、国内の納入業者(ミネベアミツミ等)が独自に製造したプラスチック製グリップに換装する、という事例があるそうです。
過去の報道写真のおぼろげな記憶ではニューナンブに似た赤茶っぽくて独特なチェッカリングが入っていたと思います。
このカスタムグリップはその雰囲気を感じさせる、という加工を施されていますが、実際のデザインとは異なるようです。

特製のカスタムパーツにより、武骨な制式装備といった雰囲気が演出されています。
実在するとなると、3スクリュー・小判サムピースという4スクリューからの移行期の古い過渡期M36と推察します。
この形状のサムピースを「小判サムピース」「小判型サムピース」と呼ぶことが多かった記憶があります。
よく見ると小判型というより四角い感じなので、縞々模様(スリット状)が小判っぽいのかな?と思ったりもしますが、おそらくKフレームのミリタリーポリスは本当に小判型をしているので、そこが由来なのだと思います。


【参考】海外サイトで見つけた実物画像
(左)ミリタリーポリス
(右)チーフスペシャル
海外では"flat latch"または”flat thumbpiece"と呼ばれているようです。

HWS M36との比較。
HWS M36は1980年頃に発売された東京CMC製M36から金型を引き継いだハートフォードがリバイバル生産しているもので、プラスチック製モデルガンのM36としてはもっとも古い設計の部類に入ります。
古いながらも設計や外観のリアルさは現在でも通用する高いレベルのモデルガンですが、作動の渋さ、不確実さ、脆さという欠点があります。
かなり実物メカの構造、形状を再現した精密模型という印象があり、今でも色あせることのない魅力があるのは確かです。

このカスタムの元のコクサイ製はCMCよりも数年ほど後発でしたが、見た目よりも作動重視の設計となっていました。なのでコクサイとCMCでは同じモデルながら明確にキャラクターの違いがありました。
サイドプレートの分割ラインやパーツ形状など実物との違いがありましたが、その代わりに作動性能は良かったのでプロップガンとして用いられるのは、コクサイ製ベースであることが多かったです。
コクサイは一時期モデルガンの生産をパッタリと止めてしまったことがあるのですが、それでもチーフスペシャルだけは継続生産していたのが印象的です。
それだけ傑作モデルガンであり、需要もあったのではないでしょうか。

タナカ Pre M36との比較。
もっとも新しいモデルガンであるタナカのM36シリーズにも小判型チーフが製品化されています。
これは「ジョーカー・モデル」と呼ばれる米映画プロップガンを模した仕様で発売されました。
4スクリュー、スクエアバットでハンマー形状や刻印類などナンバリング以前のチーフスペシャルを見事に再現しています。
プラスチック製M36で小判型サムピースを再現したのはタナカが初めてなので、それ以前は自分で作るか、ショップで作ってもらうか、という方法しかなかったのでした。
そういった時代背景から、このカスタムを製作したショップ(人?)の情熱が込められている気がします。

タナカでは標準的に採用されている金属製サイドプレートですが、それまではあまり採用されてなかったと思います。
メーカー純正でプラスチック製、金属製の双方のラインナップがある場合は流用という形でプラに金属サイドプレートを取り付ける、なんてアレンジもありました。
CMC M36は流用可能でしたが、コクサイは生産時期によって部品形状が異なるため、流用可否の判断が難しかったです。
ショップからチューンアップパーツとして金属サイドプレートが発売されたりもしました。
重量増と剛性確保という利点もありつつ、プラと金属の素材の違いが見た目の一体感を失うという側面もありました。
このあたりは現在でも好みが分かれるところかと思います。

ニューナンブ改との比較
コクサイM60ベースのニューナンブ改です。初期タイプの51mm銃身をモチーフに外観カスタムされています。
ニューナンブM60は38スペシャル5連発DAでチーフを参考に国産リボルバーとして開発されたと言われています。
なので並べて見ると、かなりソックリであることが分かります。
実際には寸法や部品形状などだいぶ異なるそうですが、基本構造・構成はS&W Jフレームは同じように見えます。

JP装備はニューナンブが王道・本筋である、と言いたいところですが、現実世界での後継モデルは「S&W M37 チーフスペシャルエアウェイト」、「S&W M360J サクラ」と変遷しています。
つまり結局のところ、JP装備はS&W チーフスペシャル直系の子孫に引き継がれているというのが現状なのでした。
面白いのが、M360Jが「S&Wが作ったニューナンブ」みたいな見た目に行きついたところですかね。
日本人の体格や使用頻度や携行時の負担軽減など突き詰めていくと、同じ感じになっていくのかもしれません。
ニューナンブは既に生産中止から何年も経ち、順次引退・廃棄の道を辿っているとのことですが、一般人にはその状況を見とどけることはできません。
たまに専門雑誌で特集してほしいなーと思います。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月18日
現代的1911カービン

"BWC Tanio-Koba GM-7 Pistol Carbine"
ずいぶんと前にBWCで購入した1911ピストルカービンです。
おそらくエアソフトガン用のカービンストックをモデルガンのタニオコバGM-7を組み込んだ感じのカスタムで本体部分はBWC製のカスタムというわけではないので、かなりリーズナブルな価格だったと思います。

ハンドガン用アクセサリーながら、全体はかなりのボリュームです。
一般的な5インチのガバメントをそのまま組み込む構造になっています。
中身は普通のガバメントなので当然セミオートオンリーです。
こんな見た目ならフルオートか3点バーストができても良さそうですが、もし実現したい場合はガバメントベースのマシンピストルを組み込むしかありません。。
ただ、それっぽい少し大きめのマガジンの方が似合うかと思い、エラン製の45ACP用セミロングマガジンを装備してみました。

ダットサイト、タクティカルライト、フォアグリップ、ストックなど20mmレールのアクセサリーが自由に配置できるので好きな仕様にデコレーション?できます。

カービンとは短い小銃を指す言葉で、ルーツは騎兵銃であると言われています。
ピストルカービンはハンドガンを長くしたものを指すことが多いので厳密にはどのようなカテゴリに属するのかは不明です。
この1911カービンはバレルもノーマルなので、かつてのMGCモデルガンのピストルカービンシリーズ(モーゼル、ルガー、バントライン)のようにバレルが長くなっているわけでもありません。

マズルは大きく穴が開いていて、特にサイレンサー/サプレッサー機能が組み込まれているわけでもないので、マズル側から覗き込むと本当のバレルは組み込まれたガバメントと共に奥の方に引っ込んでいるのが見えます。
本体はノーマルGM-7なので発火して遊ぶことができるとは思いますが、ダブルキャップCPにしたとしても、構造上、マズルフラッシュが出る感じはしないです。
このような構造なので、もしこれが実物だと仮定するとノーマルのガバメントを肩当て固定して撃つことができるだけ、といったものに見えます。ストックのおかげで撃ちやすく性能は安定するかもしれません。その分、取り回ししづらいデメリットもあります。結局中身はハンドガンなので本格的なカービン、ライフルほどの性能を発揮するのは難しいのではないかと推測します。
同じ45ACP使用のストック付きモデルというと、M3グリースガンやトンプソンM1などがありますので、比べてみると面白いかもしれません。

いわゆるモナカ構造となっていて、銃部分の固定方法はカービンのレシーバーとつながっている左右のグリップ部分をガバメントのフレームにネジ止めするだけのようです。
構造上、指かけ部分の長いサムセフティは使用できませんが、他に大きな制約は無さそうです。

【参考】海外サイトで見つけた実物画像
実物の世界でもピストルカービンキットみたいのは存在するのか気になったので調べてみました。
全く同じようなものを見つけることはできませんでした。。
そこでちょっと似た感じのものを見つけました。ただ、なんとなく似ていますが、構造的にはだいぶ異なるようです。
これはノーマルのスライドと交換して使用するタイプのキットで、専用バレルもついています。
こちらもアクセサリー類を取り付けることができるので、ショルダーストックやフォアグリップをうまく組み合わせれば、かなり安定した性能を発揮できるような気もします。
◆◆◆
かつてMGCはモデルガン創成期の1960年代から小さなハンドガンをピストルカービンに変身させるカスタムを多数製品化してきました。
リアルタイムでは無いので詳しくは知らないのですが、古い資料を見るとPPKやM1910も木製ストック装着のカービンがあり、コンバットマグナムもそのようなカスタムがあったようです。
P38アンクルタイプカービンやモーゼル・P08・バントラインの3種カービンあたりからは実際に店頭で見ていましたし、エアソフトガンのM93Rでもカービンタイプがあったと記憶しています。
ハンドガンベースの長物タイプ、というのは漠然とカッコいい、という価値観はあるのかな、と思ったります。
なんか独特の魅力があるのですよね。
現在はほとんど見かけなくなったピストルカービン、次世代の新たな形態を見てみたいと思っています。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月15日
お願い!バラさないで!

"MGC P08 Royal Blue Custom by HWS"
現在ではウェスタン系を得意とする愛知県のトイガンメーカー、ハートフォード(HWS)。
かつては数あるモデルガンショップの中のひとつでした。
比較的リーズナブルで質の高いショップカスタムが特徴で、後に東京にも出店し、廃業した東京CMCの金型を引き継ぎリバイバル生産を行い、ついにはオリジナル製品を開発、発売するメーカーとなったのでした。
ショップ当時に得意としていたカスタマイズのひとつにABS樹脂製の表面にメッキを施し、さらにガンブルー処理を行う表面仕上げがありました。
1980年代初頭にコクサイがABS樹脂製モデルガン新製品ブローニングM1910に採用した表面仕上げは通称「メタルフィニッシュ」と呼ばれ、コクサイ以外の他メーカーであるマルシン、MGC、WAからも次々に取り入れられ、ブームとなりました。
現在ではあまり考えられませんが、当時は各地のモデルガンショップでもメッキ加工をしたり、独自のカスタムを多数製作しており、ハートフォードもその中のひとつでした。
ハートフォードでは独自メタルフィニッシュを「ロイヤルブルー」と呼び、各社モデルガンに加工したメッキカスタムを販売した他、メッキ処理前に刻印や外観カスタムを施したオリジナルショップカスタムも多数製作販売していました。
これらの実績がのちのメーカー立ち上げにつながったと思います。

画像の個体はMGCのABS樹脂製モデルガン、ルガーP08がベースのロイヤルブルーメッキカスタムです。
表面仕上げ以外は特に変更はないベーシックなカスタムだったと思います。
製作は1980年代半ばから後半くらいだと思うので、購入後未発火ながらメッキ面の退色が進行しており、艶も落ちてきています。
購入当時は「ロイヤルブルー」の名称にふさわしい光沢のある美しい表面でした。もともとハートフォードのメタルフィニッシュは茶色っぽい色調であったので、現在でもかろうじてその雰囲気は保っているかと思います。

実はMGCメーカー純正でもメタルフィニッシュのルガーP08は発売されていました。
画像の左がMGC純正で右がハートフォードとなります。
MGCでは「メタルブルー」という名前の表面仕上げでした。
その名の通り、MGCは藍色に近い青系の表面で、いわゆる本家コルトの「ロイヤルブルー」を彷彿させる美しい色調でしたが、とにかく表面のブルー層が繊細すぎて劣化しやすく、良い状態で表面を維持するのが難しいのが特徴でした。

MGCメタルブルーは「発火」「手の油」「外気」「乾燥」に非常に弱く、画像ではわかりにくいですが、指が触れるグリップフレーム前部は特に表面劣化が早く現れます。
入手当時は未成年でメンテナンスの知識や習慣が乏しく、せめて遊んで箱にしまう際に布で一拭きして脂を落としておけば、、という後悔があります。
ある時期からは保管方法に気を付けるようになりましたが、劣化の進行は抑制できても元の状態が復活するわけではないのがツラいところです。

上からハートフォード、MGC純正メタルブルー、MGC純正シルバー
繊細過ぎるMGCメタルブルーとは逆に表面がかなり丈夫なのがMGC純正のシルバーメッキです。
画像のシルバーのMGCルガーはABS樹脂製モデルガンにシルバーメッキを施した純正品で、製造時期は他の個体と変わらないものの、表面のシルバーは健在です。
さすがに経年でくたびれてきた感じもありますが、メッキ層も厚いので研磨剤で軽く拭いても剥がれることなく光沢が復活します。
(サテンシルバーは艶消し感が失われていくという注意点はあります)

私の手持ちのモデルガンは無知ゆえ保存状態が悪いものが多く、あまりちゃんと紹介できるようなものではないのですがMGCルガーは比較的マトモな状態で残っていました。
それはほとんど発火しないで保管してあったのが要因なのですが、それには苦い記憶があるのです。
MGCモデルガンのルガーP08は初代亜鉛合金製(金属ルガー)と二代目ABS樹脂製(プラルガー)があります。
金属ルガーは「ダイナミックシリーズ」と銘打たれたリアル設計が売りで、非ブローバックのスタンダードながら傑作と称賛されています。
2代目となるプラルガーはどうしてもブローバックモデルガンとして製品化したかった、というMGC(というかタニコバさん?)の執念のような気合を感じる超独自設計のモデルガンでした。
リアルな構造を重んじる「鑑賞派」マニアからは「プラルガーはMGCの創作品でルガーではない」と評されてしまうほどの独創的なメカが特徴でした。
その独自設計の恩恵により、プラルガーはめちゃくちゃ調子よく発火し、私も最初に買ったノーマルABSのオープンカート(5mmキャップ)の完成品はすごい調子良かった記憶があります。
しかし、、、当時まだ子供だった私には分解した後に元に戻すことができず、何日も格闘してようやく完成した大事なプラルガーは傷だらけで悲惨なものでした。。

今でも覚えているのが、画像の組立箇所。
「シアースプリング」なるこのパーツ、ちゃんと正規の位置に留めるのが非常に困難で、うまく収まった、と思ってもグリップを取り付けるときにバイーン!と外れてしまったりするのです。
発火後のメンテナンスだけでなく、木グリに交換する、というだけの場面でも高確率でスプリングが外れてしまうので、それはもう、当時は泣きながら組み立ててたような感じでした。
後の私のプラルガー初号機はどんどんボロボロになり、さらにはコンバットマガジンで見た「MGCにLSのP08アーティラリーのバレルをくっつけるカスタム」に影響を受けてしまい、プラモ屋で買った新品のLSでチャレンジしたものの、見事に失敗。
結局MGCもLSもジャンクボックス行きとなってしまいました。若気の至り、では済まない切なくてもったいない想い出です。
なので、数年後何回かプラルガーを購入する機会があったのですが、絶対に発火せず、バラさないで済むようにしよう、と心に誓った結果、なんとなく2号機以降のルガーは小ぎれいなまま残ったという感じなのでした。
これは私が単に不器用なだけで、モデルガン愛好家の皆様は全く気にならないレベルなのだとは思います。他にはMGCプラパイソンも、できれば分解組立したくないモデルガンのひとつです。。工場で組み立ててる人に講師になってほしかったです。。
もしタイムマシンがあったら、ルガーを分解しようとしている子供の頃の私に向かって
「バラさないでーーーー!!!」
と叫んで止めます。
◆◆◆

プロップガンとしてのルガーP08といえば、「太陽にほえろ!」のボス(石原裕次郎)の専用銃という設定がありました。
劇中におけるルガーP08の設定として「命中精度が良い高性能銃」とされている感じで、殺し屋が愛用していたりする場面もあります。
ボスは射撃の名手という感じで扱われているので、第123話「孤独のゲーム」では犯人を抜き撃ち1発で仕留めます。
ちなみに映画「太陽への脱出」(1963 監督:舛田利雄 主演:石原裕次郎)でMGC特製のルガーP08プロップガンが登場したことが有名なので、「太陽にほえろ!」のボスがルガーを持っていても何となく納得してしまいます。
ただ、当然、ルガーP08が実際の警察装備に実在しないとは思いますが。。
そういうことを言い出したら、ハイパトもローマンも同じなので、素直に作品を楽しんだ方が良いと思います。
なので、作品の中の世界では「ルガーP08は敵・味方問わず憧れる最上級ステータスモデル」として観るのが良いかと。。

おそらく戸井田工業製の電着プロップガンと思われますので、トグルは上がらず、排莢もしません。
電着ルガーは他作品でも見かけることがあったので需要はあったのだと思います。
私の大好きな「大激闘マッドポリス'80」では主人公の氷室(渡瀬恒彦)が装備しており、オープニングでスピンを決める姿にしびれました。
こちらも電着ルガーだったと思います。この時代、過激なガンアクションの作品は多かったですが排莢するプロップガンはほとんど見かけなかったですね。
映画「太陽への脱出」ではタニオアクションで排莢していた、というので技術的には方法がいくつかあったと思いますが、安定した発火性能を発揮するCPベースのプロップガンが登場するまでは少数派だったのでしょう。
そのうちトグルがポンポン動くプロップガンが登場する作品が出てくるのを待ちましょう。。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月13日
ナンノのデベル

"MGC M39 DEVEL CUSTOM"
デベルです。MGC M39ベースのカスタムです。
MGC最終期のHW樹脂モデルガンがベースとなっているようです。
かなり過去に中古で入手したため、製作者不明で詳細もわかりませんが、細部まで外観カスタマイズが行われています。
デベルカスタムとは1970年代に登場した実在のカスタムです。
私服で目立たずにハンドガンを携行する、いわゆるコンシールドキャリーは当時では作動確実な短銃身リボルバー(スナブノーズ)が主流でした。
よって、火力の高い9mmルガーや45ACPを使用するセミオートを携帯するという需要が少なく、S&Wやコルトなど大手メーカーでは該当製品がほとんどありませんでした。
そこでサードパーティのカスタムとして登場したのが、このデベルやASPでした。
これらが好評で市場の需要を認識したメーカーも火力の高いコンパクト・セミオートを続々と発売していきました。

ベースモデルのMGC M39HWは5ミリMGキャップ使用のCP-HWブローバックだったと思いますが、あらゆるパーツを切り詰めて強度が相当落ちてると思うので、発火には不向きです。
そもそも最初からデトネーターは付いていなかったので、ダミー仕様です。
ただ、マガジン等のサイズはそのままなのでリアルサイズ9mmダミーカートは入らないため、かろうじてMGCのオープンカートが使用できるといった感じです。


シルバー仕上げとなっていますが、経年劣化なのか曇りや剥げが出てきています。
MGCベースなのでストレートブローバックのままです。
デベルの特徴である窓あきグリップと残弾が見えるマガジンも再現されています。
これが約50年前のデザインとは思えないほど未来的に見えてきます。

日本においてデベルは専門誌で早い時期に紹介されていたので、有名なカスタムでした。
1980年代初頭からいくつかのショップカスタムとして発売されるなど人気のモデルだったと思います。
そしてついにプロップガンとしても登場したのでした。
フジテレビ系の刑事ドラマ『あいつがトラブル』(1989)は主人公の美咲令子(南野陽子)は何とデベルを装備していたのです。
バブル華やかな時代にピッタリでしたが、さすがにシルバーのカスタムオートを持つ、なんていうのはフィクションっぽいかな、なんて思っていました。
その何年もあとに同じフジテレビ系の『アンフェア』(2006)で主人公の雪平夏見(篠原涼子)もシルバーのS&W M3913を持って登場したのには驚きました。この時は「荒唐無稽な装備」ではなく、実際に日本警察で採用されていたので、むしろリアルな設定となっていたのでした。
その後のTBS系刑事ドラマ「ジョシデカ!-女子刑事-」(2007)では主人公の刑事くるみ(仲間由紀恵)がシルバーのSIG P230を使用しており、刑事が銀のプロップガンを持っていても気にならない時代になりました。
(さすがにP230シルバーは実際の装備には採用されてないと思いますが)
ちなみにジョシデカの脚本はアンフェアと同じ秦建日子氏、ガンエフェクトはビッグショットでプロップガン製作は旭工房と、いろんな繋がりを感じる作品ではありました。P230の発砲プロップはマルシンPPK/Sベースだったそうです。
結果的に『あいつがトラブル』の装備は未来を予言していた、みたいな感じになったのが驚きましたね。

南野陽子さんはサウスポーなのも相まって、プロップガンを構えるビジュアルが特徴的でした。
制作陣は撮影まで左撃ちだと知らなかったという逸話があるみたいです。
『スケバン刑事』時代のロングヘアからショートカットになったのも新鮮でした。
『傷だらけの天使』を知らないナンノと『スケバン刑事』を知らないショーケンのアクションドラマ
・・・こんな感じで紹介された『あいつがトラブル』は南野陽子、萩原健一、織田裕二、宍戸開、という豪華かつ濃いメインキャストのドラマでした。
刑事ドラマ「ベイシティ刑事」(1987)、Vシネマ「クライムハンター」(1989)シリーズのスタッフが大川監督始め、多く参画していることから、ベイシティ刑事の”マギー”(シルバーのナショナルマッチ)の系譜を感じることができます。
もちろんガンエフェクトはビッグショットが担当しており、デベルは旭工房が製作しました。放映当時に月刊Gun誌でも特集記事が掲載されたと記憶しています。
ただ、その他に資料となる情報が乏しく、この画像にある雑誌「隔月刊テレビジョンドラマ」くらいしか手元にありません。
確かVHSビデオソフトとして発売されたことはあったような気がしますが、DVDボックスなどの形態で発売されていなかったと思います。
そんなわずかな資料と記憶の情報しか紹介できないので、できればDVD/BD発売してほしい作品です。


旭工房製デベル(左)との比較。
こっちのデベルは以前『マルシン製ベースで加工途中のジャンク部品ほぼ1丁分』を旭工房で購入させていただいたものです。
ただ、内部パーツの一部とマガジンの中身が無い、くらいなもので、加工はほぼできている状態でした。
"DEVEL"ロゴはデカール状のものが貼られていたのですが、いつの間にか剥がれてなくなっていました。
念の為に旭工房製の金属の方のロゴも購入してあったのですが、何かもったいなくて貼ってません。
こうして並べて眺めてみると、当たり前ながら、やはり旭工房製が実プロップと似ていることがわかります。
旭工房の仲代氏によれば、撮影時はCPブローバックの発砲用の調子が良く、念のために準備した電着版は使わないままだったそうです。
電着版もどんな感じだったか気になりますね。
南野さんが左利きだと知らなかったのでトリガーガードの切り欠きを右用のまま作ってしまったのが残念だったとおっしゃっていました。


ノーマルサイズのM39との比較。
右はMGC製M39コンバットカスタムです。
ノーマルに比べデベルがどれだけコンパクトに加工されているか分かります。
M39コンバットカスタムというのはMGC純正カスタムでは珍しい部類かと思いますが、あまり人気が無くて生産数も少なかったそう。
その昔、上野のMGCサービス部でずっと売れ残っていた記憶があり、私はMGCイベントで本体のみを安く買いました。
やはりM59の方が人気が高かったのですかね。
ちなみに仕様はフレームのチェッカリング加工、木製グリップ、コンバットリアサイトという感じのライトなカスタムです。
M39ベースのメーカー純正カスタムはこれ以外はほとんどなかったものの、後に発売されたM59シューターワンカスタムやエアソフトガンM759カスタム等、MGCではSWセミオート系のカスタムはそれなりに多数製品化されました。それを考えるとM39は不遇モデルという印象が強いです。
ただ、M459モデルガンが製品化された際にスライドを丸ごと流用したM439が発売されたことはありました。
なお、M59、M39の金型はMGC廃業後にどのメーカーにも引き継がれなかったそうで、再生産の見込みはありません。なので大切に維持したいと思います。。



【参考】海外サイトでみつけた実物画像
デベルはサードパーティカスタムながら、生産期間も長く、生産数も多いようです。
『フルハウス』と呼ばれているものを多く見掛けますが、何がそう呼ばれてるのか等々、具体的な詳細仕様は特定できませんでした。
デベルは主に銃身長の短縮(前後方向の短縮)、装弾数の削減(上下方向の短縮)を基本仕様としており、携帯性を高めるための加工(突起となる部分の削除、丸め、サイズダウンなど)を行っているようです。
ベースモデルはS&W M39が主でM59もあるようです。
艶消しシルバー仕上げが主流ですが、稀に艶消しブラック仕上げも存在するようです。
製造時期や仕様によって加工箇所や形状などには多くのバリエーションが確認できます。
マガジンボトムは変形ピラミッド状の独特な形状をしています。
◆◆◆
デベルは今見てもカッコ良いモデルなので、マルシンのM39がセンター化されて再発売されたら、ぜひともデベル仕様に仕立てたいところですね。
腕が無いので無理だと思いますが、どこかのショップでカスタムされたものが出たら買ってしまうかもしれません。。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月11日
LではなくてCです。ミリポリより

"HWS Military & Police Pre M10 2inch"
最近何度か取り上げている「ベイビーわるきゅーれ」シリーズは近代セミオートが活躍するイメージの作品ですが、テレビ連ドラ「水ドラ25 ベイビーわるきゅーれ エブリデイ!」では稀にクラシカルなプロップガンが登場します。
組織内で裏切り者を始末する「粛正さん」なる役割のエージェント、日野(柄本時生)がミリタリーポリス(ミリポリ)の2インチを使用しています。
この「日野仕様」は5スクリュー、テーパーバレルというオールドタイプのプレM10ミリポリで、ハートフォード(HWS)製のモデルガンをベースにしていると思われます。
ほぼHWSノーマルに近い仕様ですが、ハンマーがビクトリータイプからM19タイプのスパーを細くしたものに換装されています。
偶然ですが、私の手持ちHWSミリポリも似たような仕様になっています。
これは元のビクトリータイプのハンマーにクラックが入っていて、仕方なくCMC M19のハンマーを流用したものです。
どうせならフックタイプに整形したかったのですが、削るだけでは変身不可能ということがわかり、中途半端に削った状態で仕方なく取り付けています。

近年のモデルガンにおいてフックタイプハンマーはZEKEミリポリに採用されているのみで、あとは50年くらい前の国際産業の初代ミリポリ(亜鉛金属製)か六研ミリポリ(真鍮製)が採用しているくらいかと思います。
フックハンマー、独特な形状でカッコ良いんですが、あまり製品化されないのは採用モデルが少ないからでしょうか。。
2インチ、半月フロントサイト、スクエアバットという仕様のミリポリは映画「刑事ジョンブック 目撃者」で主人公ジョン刑事(ハリソンフォード)が使用していたのが有名で多くのファンがいると思います。
モデルガンでは国際産業改めコクサイのABS樹脂製メタルフィニッシュの製品が1983年に発売されました。
オールドタイプっぽくはあったものの、バレルがテーパーでなくストレートだったり、M19共用のためにカウンターボアードの長いシリンダーだったり、というミリポリでは実在しない仕様になっていたりもしましたが、私は発売当初からずっと好きなモデルガンです。

「太陽にほえろ!」ではマミー刑事(長谷直美)がメタルフィニッシュのまま使用し、非常に印象深いプロップガンでした。
ビッグショットの納富氏が月刊Gun誌の記事でミリポリ2インチが「お気に入り」というコメントがあったりしましたが、ニューナンブ風など、リアルなプロップガンの台頭により、ローマン以降の刑事制式プロップガンにはなり損ねた感はあります。


左:旭工房製、右:HWS製
その昔、コクサイM10では再現されていない部分をリアルにモディファイした旭工房製カスタムが発売されていました。
これはHWSが製品化するよりもずっと前の作品で、画像の個体は90年代後半から2000年代前半くらいの製作と記憶しています。
バレルの作り変え、5スクリュー化、刻印の打ち直し、シリンダー短縮、カウンターボア廃止、戦前タイプのサムピースなどシンプルな見た目ながら、かなり加工箇所の多い手の込んだカスタムとなっています。
旭工房製とHWSを比較してみると、かなり近い仕様であることがわかります。
ちなみにバレルの口径表記が"38 S&W SPC. CTG."と忠実に再現されているのも見逃せない点です。
『コクサイでは"SPL"となっている刻印、実は"SPC"が正解』というのは旭工房カスタムを手にして初めて知ったことです。


ミリポリの2インチというと、やはりこのイメージなのですかね。
イチローナガタ氏のコレクションではグリップ底部が角ばっているダイヤモンドセンターグリップにシルバーのテイラー製グリップアダプターという仕様があり、Gun誌やモデルガンチャレンジャー誌で紹介されていたことを覚えている方も多いでしょう。
コクサイのミリポリを製品化する際に設計担当の方が渡米し、イチロー氏のコレクションを取材したことは有名なので、メーカー標準のプラグリの形状など、氏の所有モデルと同じ仕様になっていたと推察します。


せっかくなのでコクサイのノーマルも並べてみましょう。
左から、コクサイノーマル、コクサイベース旭工房、HWSです。
コクサイのノーマルバレルは太くて野暮ったいなんて思ってましたが、こうして並べてみてみるとそこまで気になりません。
コクサイのミリポリは1983年に登場してから生産終了まで見た目、仕上げ、構造、材質など地道に改良されているので、細かいバージョン違いはたくさんあります。
画像の個体はメッキではなくABS樹脂に艶消し塗装した2世代目くらいの製品です。
末期の製品はシリンダーが短くなったり、カートリッジが内部発火式になって全長が伸びたりしているので、完成度は高いと思います。



【参考】海外サイトで見つけた実物画像
実物のはずなのですが、なんかモデルガンっぽい?感じですね。。
バレル刻印が"SPC"となっているのがわかります。
洋書やネットなどを調べるとグリップ形状は底部が角ばっているものと丸まっているもの双方が確認できますが、丸い方が少し多いのかな、という印象です。
ただ、実物の世界ではグリップは消耗品として交換頻度も高いと言われているので、オリジナルがどれくらいの比率で存在するのか、ということまでは分かりませんでした。
個人的にはどっちも好きです。2インチで角底でもイチロー効果で刷り込みされているせいか、カッコ良く見えるんですよね。。
近年の「あぶない刑事」ではユージ(柴田恭兵)がミリポリ2インチを使用していますが、やや最近のタイプ(とは言っても実物で古いものは60年くらい昔のものが存在)で薄いリブ付きバレルにラウンドバットとなっています。
秘匿性・携帯性という意味ではラウンドバットの方が有利なのだと思います。
いずれ、タナカからも古いタイプのミリポリが出てくれると嬉しいのですが、なんとなくHWSとタナカで住み分けができているような気もするので、製品化は難しいかもしれないですね。。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月08日
シルエット・ロマンス

"MGC 44MAGNUM SILHOUETTE CUSTOM"
一目でわかる、とにかく長い44マグナムです。
ABS樹脂製モデルガンのMGC44マグナムがベースのカスタムですが、中古入手のためショップカスタムなのか個人製作かは不明です。
市販モデルガンでは8 3/8インチが一番長いですが、それよりも長いです。
入手時期や購入先など全く思い出せないので、どういう経緯で買ったのかも思い出せませんが、なぜか昔から「ロングバレル」への憧れがあったので購入したのだと思います。
私が子供の頃、モデルガンに対して興味を持ち始めた時の価値観というか憧れは「より口径が大きく、より銃身が長い方が良い」というものでした。
そのため、当時「西部警察」のリキ(寺尾聰)や「太陽にほえろ!」の後期のスコッチ(沖雅也)の持つ44マグナム8 3/8インチが最強という考えだったのでした。
ダーティハリーの6.5インチでさえ短い!と思っていたほどです。
専門知識も無く、テレビや漫画からしか情報が無かった年ごろのことなので。。まあそんなものです。
Gun誌を読んだり、同じ趣味の友人たちと情報交換していくうちに、だんだんとその考えは薄れていくのですが、それでもどこか、長い方がすごいんだ、という考えはずっとどこかにありました。
刷り込みって奴でしょうか。普段は劇中使用のモデルガンがお気に入りの上位を占めてますが、それとは関係ないSAAのバントラインやピストルカービンなど、今でも好きだったりします。

この長い44マグナムは記憶によると関西方面のショップで「12インチカスタム」という名称で類似のショップカスタムが販売されていたと思います。専門誌の広告にも出てたような気がしますが、見つけることはできませんでした。
(見つかったら追加で掲載しておきます)


ABS製のノーマルバレルを継ぎ足して長くしているようで、経年変化により継ぎ目や元刻印が浮き出てきています。
うっすらと入っている刻印は左側にメーカー名、右側に口径と「シルエット」の文字があります。

全体的に分厚い艶消しブラック塗装がされており、アクションが硬くなっています。懐かしのアドベンスプレーでしょうか。。表面が荒れてひび割れや剥がれが見られるので、いちど剥離して綺麗に塗りなおした方が良いかな、と思ってます。(そう思って数年経ってますが)
バレルを延長してある以外は至って普通の44マグナムなので、こうしてみると何も新鮮なところはありません。。


既製品のMGC44マグナム 8 3/8インチと6.5インチを並べてみました。
どれくらい長いか、が一目瞭然です。
その昔、近所のプラモ屋でLS製『44マグナム12インチ ハンティングスペシャル』というプラモデルが売っていました。小学生の頃だったので、うまく組み立てられず、しかも筆で「ガンメタル」なる塗料でヘタクソにペイントしてしまったゆえ、まともに動かない、汚い、という感じになって挙句、いつの間にか捨ててしまった(捨てられた)悲しい記憶があります。
なぜかパッケージの上蓋の画像だけありました。

おそらく「44マグナム12インチ」はLS製プラモデルが唯一のメーカー製品だったと思います。LS製プラモデルは貧弱な材質のプラパーツで構成され、金属部品はほぼバネ類のみという華奢な製品ながら、内部構造などがリアルだと定評がありました。ただ、この12インチモデルが実際に存在するのか、架空のモデルなのかは不明です。
いわゆるカタログモデルと呼ばれる製品は無くとも、どんな工業製品でも限定品や特注品があるか、試作品のみが存在するといったケースがある可能性はゼロではないので、存在有無を断定する材料はありません。
昨今はネット普及により、そういったリサーチがしやすくなったので、あれこれ検索を試して似たモデルを探していく、というのは一つの楽しみかな、とは思っています。
結局のところ、画像の個体と全く同じような見た目の実物を発見することはできませんでしたが、近いモデルはヒットしました。
"SMITH & WESSON MODEL 29-3 SILHOUETTE .44 MAG 10 5/8" BARREL"



【参考】海外サイトで見つけた実物画像
銃身長は10 5/8インチと12インチには及ばないものの、すごく長いのがわかります。
AF(アジャスタブル・フロントサイト)が搭載されており、精密射撃を意識していることがわかります。
確か昔のGun誌でターク氏がガンショー発表のニューモデルとして紹介していたような記憶がありますが、これもどの号かは特定できませんでした。
同時期にコルト社もパイソン・シルエットという見た目はパイソン・ハンターと同じ8インチモデルを発売していたので、「シルエット」が共通のキーワードになっていますね。
ここでいうシルエットは「シルエット・シューティング」を指しているようです。
シルエットシューティングとは
『大口径ライフルを500メートルまでサポートなしでフリーハンドで射撃するか、大口径拳銃を伏せた姿勢から体のみで200メートルまで射撃する。』
とあり、国際メタリックシルエット連盟ほか各国に連盟が存在し、ひとつの射撃格式になっているようです。
すごい長距離射撃のようですね。
今回紹介したモデルガンはAFサイトが付いてないので何とも言えませんが、「シルエット」と刻印があるので、それを意識したカスタムだということがわかります。
この長さを収容するホルスターは無いので、プロップガンとして活躍する場面は想像つきませんが、西部警察でリキが44マグナムにスコープ付けて屋上から狙撃しようとするシーンもあったことから、どんな場面なら登場させられるか考えてみるのも楽しそうです。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月06日
ジェリコすか

"MKK Cz75"
現在公開中の映画「ベイビーわるきゅーれナイスデイズ」は通算3作目です。
先日、第1作目「ベイビーわるきゅーれ」、第2作目「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」と併せて3作品が同日上映され、坂元裕吾監督の舞台挨拶、プロップガン展示もあり、楽しませていただきました。
既に何度も観ている作品ですが(他の観客も初見という方は少数だったようです)、好きな映画は劇場で何回観ても飽きません。。
やはり気になるのがプロップガン展示ですよね。
「ナイスデイズ」に登場した3丁が並べられていました。
以前、当作品のプロップガンについて少し触れさせていただきましたが、既存のモデルガンでそのままの製品がないので、特製のプロップガンということになります。
主人公の「ちさまひ」コンビは以下をメインに使用します。
・ちさと(髙石あかり):SIG P229R
・まひろ(伊澤彩織):SIG GSR オールシルバー
対峙する最強のフリー工作員”冬村かえで”(池松壮亮)はジェリコ941を使用し、今作において非常に印象的に活躍したプロップガンだったと思います。
作中では冬村がジェリコ愛を語るシーンもあったり、テレビ連ドラの「ベイビーわるきゅーれエビリデイ!」では、まひろがジェリコを使っていたりして、作品ファンにはメジャーなモデルとなっています。
題名の「ジェリコすか(ジェリコっすか)」は劇中のセリフであり、坂元監督がSNSでハッシュタグとして用いたりしていました。かなり監督お気に入りのプロップガンなのでは無いでしょうか?
ご存じのとおり、ジェリコのモデルガンは現行はもちろん、過去にも発売されたことがないので、親戚?というか先祖となるCz75のモデルガンを引っ張り出してきました。

マルシンのCz75です。ちゃんとセンターブリーチのPFCブローバックするモデルガンです。
え?Cz75のモデルガンなんてあったっけ?と思われがちな短命な製品でした。
ただ、マルシンがモデルガンメーカーとしてのプライドと意地とコダワリで製品化にこぎつけたのでは、と私が勝手に解釈しています。
1990年代初頭から後半にかけて、マルシンCz75は概ね以下のような順番で製品化・発売されました。
①(エアソフトガン)カートリッジ式ガスブローバック
②(モデルガン)カートリッジ式ガスブローバック
③(モデルガン)カートリッジ式ガスブローバック タンク増設版
④(モデルガン)カートリッジ式PFCブローバック
⑤(エアソフトガン)カートリッジ式ガスブローバック デュアルマキシ
画像の個体は④のPFCブローバックです。
②③は発火式モデルガンながら、ガスでブローバック(排莢)する独特の機構を持つ製品で、「スーパーブローバック」と名付けられていました。
キャップ火薬はリボルバーモデルガンと同様に音と光を出すためにだけに使われ、撃発音も大きいのが特徴です。
また、火薬を使わなくてもガスさえ充填しておけば静かに?排莢を楽しむこともでき、新たなジャンルのモデルガンとして注目を浴びました。
しかし、スーパーブローバックは内部メカの独創性・独自性が強烈でリアルとは言い難く、ガスボンベなど本来モデルガンでは存在しなかったパーツ群のためにマガジンやカートサイズが小さくなる等のデメリットがありました。それでも外部ソースを使わずリアルな見た目にこだわったところ、ガス容量が小さいゆえにダブルカラムの1マガジンを撃つのがやっと、くらいという感じだったと思います。なので③でガス容量アップを図ったものの、今度は見た目のリアルさを失う、という感じで試行錯誤ゆえの迷走感がありました。
そこで登場したのが④のPFCブローバックだったのですが、新規開発でやり直す、という予算も余裕もなかったと思われ、同じくマルシンのモデルガンM92Fシリーズ譲りのセンターブリーチが搭載されたものの、MGCの旧ガバメント(GM2)のごとく、ショートリコイルしないストレートブローバック構造でマガジン・カートリッジは小さいサイズのままでした。
結局のところ、マルシンCz75はモデルガンとしての製品改良をやめてしまい、もっとも最初のエアソフトガン(ガスブローバック)の改良版を主軸とした商品ラインナップになってしまいました。
個人的にはPFC版をX-PFC化してヘビーウェイトの組立キットとして再販してほしいと思ってますが、難しいですかね。。
Cz75のPFC版は90年代終わりごろの登場で、今考えると「マルシン最後の新製品PFCモデルガン」だったかもしれません(ベビー南部だった気もしますが)。
X-PFC化、センター化、バリエーション展開とモデルガンを改良しつつ販売継続してくれているマルシンですが、「モデルガンを新規開発してはいけない」という鉄の掟があるかのごとく、久しく完全な新製品を見ていない気がします。
様々なコストが急激に上がっている最近の傾向から判断すると、完全新規のモデルガン開発のハードルは果てしなく高くなっているでしょう。開発費を楽勝で回収できるほどのヒットとなれば問題ないのですが、そこを期待するのは難しいのだと思います。
ウルトラCとして公共事業で毎年、何万丁も発注が来るような製品であれば良いですが、なかなか現実的な需要は思いつきません。。ヒップホップダンスのごとくCQBが義務教育の必須科目となれば備品として需要が??なんて妄想しかできません。。

そんなPFC版のCz75ですが、現在のところ唯一の発火式ブローバックモデルガンなのでお気に入りの1丁となっています。
もろもろの制約からM84サイズのカートリッジでストレートブローバックで、センターブリーチにライブエキストラクターという構成となっており、手動でゆっくり空作動でも装填排莢がほぼ確実に行われるので、調子よく発火しそうな感じです。
ただ、残念ながら発火したことが無いのです。
同モデルを所有する知人から「調子良いけど、ある日とつぜん壊れるよ」と忠告されたのです。
その原因が個体差なのか元々の構造上の問題かわかりませんが、なんとなく壊すのが怖くなってしまい、撃たずじまいだったという感じです。
ブローバックの衝撃でバレル基部付近が破損する、という話を聞きましたが、GM5もP226も発火して壊れるのは同じような箇所なので、発火式モデルガンにおいてこの手の事象は決して珍しいことではありません。
私が持ってたプラのブローニングは発火もしてないのにトップリングがすごい勢いで飛んで行って壁が傷ついたこともあります。
(工業製品としてどうか、という話もよく出ますが、長年に渡って洗脳?調教?されて慣れてしまっている自分がいます)
なので、考えてみれば、マルシンから部品供給があるうちに発火してみて、弱い部分の予備パーツを確保しておけば良かったなーとも思います。

Cz75はトイガンとして製品化される以前から専門誌の特集、特にイチローナガタ氏のレポート等で絶賛されていたりもしていたので非常に人気の高いモデルという印象があります。
エアソフトガンとしていくつか製品化され人気を博したにも関わらず、決定版のモデルガンが世に出てこないのは材質や安全対策など制約が多く、設計が困難なのではないかと推察します。
一時期、「ブローバックモデルガンはタニコバさん以降の後継設計者がいないので絶滅する」なんて言われていましたが、タニオコバ/BWCの他にもマルシン・タナカ・KSC・エラン・CAWとブローバック現役製品を発売しているメーカーは何社もありますし、ZEKEやC-TECなどが発火関連のオプションを発売したりもしています。
一時期ほどは「絶滅」の危機を脱している感のあるモデルガンにおいて、そろそろ決定版のCz75が登場してくれても良いのになーという願望を強く持っています。

Cz75の魅力として、古いような新しいような、強そうで弱そう、みたいな独特のバランスと雰囲気があると思っています。
大祖先はブローニングハイパワーとも言われていますが、型式名が示すとおり1975年に登場したチェコスロバキア(当時)製のCz75は歴史、生い立ちともに西側と違う孤高のモデル、という印象があるような感じがします。
コンバットシューティングの神様、ジェフクーパー氏が「これが45口径なら最高の銃」と絶賛したという逸話もあり、のちにブレンテンなど派生モデルも登場した一因となっているかと思います。
東西冷戦解消後は関税の緩和やアメリカ法人の設立などでCz75はメジャーモデルとしての地位を確立したようです。
では件のジェリコ941はどんなモデルなのでしょうか。



【参考】海外サイトで発見したCz75とジェリコ941の比較画像
どうやらアメリカ法人ができたあたりから"Cz"でなく"CZ"になったっぽいですね。。
とりあえず本物にはそこまで詳しくないので、そこはあまり気にしないでください。
ジェリコ941はデザートイーグルで有名なイスラエルのIMI(今はIWI。ややこしいです。。)がCz75の弱点を改良し世に送り出したモデルです。
「ベビーイーグル」というニックネームもあるように、デザートイーグルとCz75の中間といった感じのデザインが特徴です。
1990年代の登場なので、Cz75登場の1975年から約四半世紀分の改良が加えられていると言えます。
厳密にはCz75を改良したイタリアのタンフォリオTA90からの技術提携によってジェリコ941が作られたので、Cz75⇒TA90⇒ジェリコ941という感じなのですかね。
スライド・フレームのデザインやサムセフティの位置の違いにより、一見まったくの別モデルに見えます。
ジェリコ941が日本でモデルガンとして製品化されることはありませんでしたが、マイナーモデルを製品化することでおなじみだった、今は無きハドソン工業がエアソフトガン(ガスブローバック)として発売されたことで覚えている方も多いと思います。
ハドソンはMGCなど大手トイガンメーカーと異なり、マニアックなモデルを発売している小規模メーカーでした。
モデルガン全盛期でもその独特すぎるラインナップと「1弾倉分、動いたら奇跡」みたいな作動性をもった中毒性のある製品群にトリコになったマニアも多いと思います。
エアソフトガンにブームが移っても、その独自性は継続されていたと聞きます。
私はエアソフトガン系については無知なので、詳しい人に聞いてみると「ハドソンのジェリコ?まぁいわゆるハドソンっぽい感じだったなー」という感想を教えてくれました。
同じハドソンのトカレフのように初期生産分は調子悪く、製造ロットを重ねる度に改良していったと聞きました。
メーカー自体が無くなってしまった今では検証することはできませんが、最終期は調子が良かったのですかね。
絶版品となってしまったので現在新品での入手は不可能なので、中古入手しか方法はありません。
ただ、製造時期の違いの他、程度によって価格の幅が大きいようで、ある程度詳しく、慣れている方でないと完全作動品として維持するのは難しいようです。
「ベイビーわるきゅーれ」のプロップ担当、遊佐和寿氏によれば、発砲プロップの外装はハドソンを流用し、バレルはマルシンハイパワー、ブリーチはマルシン92F、マガジンはタナカP226だそうです。
執念のスクラッチカスタムですね。劇中では非常に調子よく発火、ブローバックしているのを確認できます。
DVD・BD化されたら即購入して、じっくりプロップ観察をしてみたいと思っています。

映画館に展示された「ベイビーわるきゅーれナイスデイズ」のプロップガンたち。
左からP229R、ジェリコ941、SIG GSRです。
発砲用かダミー用か確認できませんでしたが、激しい撮影を耐え抜いた傷もありつつ、それぞれビシっとした仕上がりで、どれも素晴らしいプロップガンでした。
SIGやガバ系を見慣れているせいか、やはりジェリコの存在感がすごいですね。。

ジェリコ941のアップ。
ぱっと見はCz75の仲間、とは思えないほど独特な見た目をしています。
これはハドソンが目を付けそうなモデルだよなーと思いつつ、タナカあたりが金型を引き継いでいて、リバイバル販売してくれないかなーなんて思ってしまいました。
そういえばハドソンってCz75とかMP5とか発売予定だったけど、結局発売されることはなかったですね。
こういった企画段階の設計とかも他メーカーが引き継いでいて、完成にこぎつけてほしいと思ったりもしてます。
ジェリコはモデルガンとして出たら、かなり人気が出るのではないかなーと思っています。
↓↓ ジェリコ撮影会?は若い女性にも大人気でした ↓↓↓
https://x.com/ashida10721/status/1852583444376965407
今年公開の「帰ってきたあぶない刑事」も監督トークショーに出向いたことがあったのですが、客層は古参というか昭和のテレビシリーズ時代からのファンが多かった記憶があります。「あぶ刑事」の場合は男女比率は半々くらいという印象ですが(私の勝手な見立てです)、「ベイビーわるきゅーれ」においては監督も20代、キャストも全般的に若いこともあるのか、平均年齢は若く、女性比率も高そうでした。
ミリタリー系のイベントで、まず見ることの無かった客層という印象を持ちました。現在は映画に限らずアニメやゲームから現実世界の趣味に波及することも当たり前になってきましたので、何が流行ってもおかしくはないですよね。
スマートフォンでプロップガンを撮りまくる人たちを見て、今後ひょっとしたらモデルガンも全く違うブーム、ユーザー層の登場がありうるかも、なんて思いました。無理ですかね。。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
2024年11月01日
実は老舗なKSC

"KSC Kingcobra Silver Limited"
KSCキングコブラの限定版シルバーメッキです。
かなり過去に入手したもので、いつどこで買ったのかサッパリ忘れてしまいましたが、購入理由だけは覚えています。
『光沢のある白っぽいシルバーメッキでベイシティ刑事のジョンみたい』
という、当のキングコブラには?少々失礼な理由で買ったのでした。
KSCのモデルガンというとまず浮かぶのがキングコブラ、という方も多いかと思います。
ただ、KSCはエアソフトガン中心でモデルガン製品の種類はそんなに多くないと思います。
・コルトMKVリボルバー(キングコブラ、ピースキーパー、トルーパー)
・ベレッタM93R
・SIG P230
なんとなく新しいメーカーという私の勝手なイメージがあったKSCですが、どんなメーカーなのでしょうか。
山梨県にあるトイガンメーカーのKSCは元々MGCの下請け工場であったことが有名です。
現会長は1960年代初頭から活躍したMGC創設当時の技術スタッフで、のちに独立し1969年「島製作所」を設立。
1994年にMGCがメーカーとして無くなると、自社独自開発のM93R(エアソフトガン)を台東商事名義で発売し、1995年にKSCに改称しました。
MGCの金属ガバメント(GM3)の金型を引き継ぎ、自社改良をして輸出用モデルガンとして生産をしていたそうですから、新参どころか実はすごい老舗メーカーでした。。

キングコブラというと「あぶない刑事」のユージ(柴田恭兵)がパイソンの後に装備していた記憶がやはり強いですね。キングコブラとはどんなモデルか簡単に説明します。
実物の世界では1982年にコルトの新世代DAリボルバーとしてMKV(MK5)シリーズがデビューし、キングコブラは1986年に登場しました。
日本のプロップガンとしてキングコブラが登場したのは主演の仲村トオル氏と奥様が出逢ったことでもおなじみな「俺たちルーキーコップ」(1992)あたりが一番古い記憶です。
TBS系の刑事ドラマですが、東映・セントラルアーツ制作の横浜が舞台の刑事ドラマで、ガンエフェクトはビッグショットという「あぶない刑事」の仲間みたいな作品でした。
残念ながら視聴率不振で打ち切りという不名誉な実績もありますが、プロップガン好きのガンマニア達は結構観ていたと思います。
当時はまだKSC製が無かったのでMGCトルーパーをベースに旭工房がカスタマイズしたキングコブラがプロップガンとして使用されました。
ここで使用されたトルーパー改キングコブラが「あぶない刑事リターンズ」(1996)で発砲用プロップとして使用されたようです。その一方で発火しないアップ用(設定銃)として当時バリバリの新製品だったKSCが使用されたそうです。
旭工房の仲代氏によれば発砲シーンには確実作動で信頼性の高いMGCベースを使用した、ということなので、まだ新製品だったKSCの発火性能は実績不足で未知数だったということが考えられます。
アクションシーン撮影時にプロップガンの不調(不発・動作不良・破損など)が起きると、単なる撮り直しでは済まず、損害が大きくなる可能性があるのだと思います。
たとえば不発なのに弾着が作動してしまったり、爆破や大きなスタントを伴うシーンでは取り返しがつかないことになるリスクもあるので、いちファンの私が「発砲シーンもリアルなKSCを使えば良いのに、、」なんてことを思ったとしても、プロである制作スタッフは考えられないほどの緊張感をもって様々な事態を見越して取り組んでいるので、最終的に世に出たシーンが全ての答えである、といった感じでしょうか。

ピカピカメッキのキングコブラとコクサイのM66の比較。
非常に特徴的な光沢のある鏡面メッキ仕上げですが、これはKSCのメーカー純正品ながら限定品としての販売でした。
トイガンにおけるプラスチックモデルへのシルバーメッキは黄ばみの無い白っぽいクローム系の電気メッキであることが多いです。
鏡面であったり、黄ばみのあるニッケル系の仕上げは少ないという印象があります。
比較用のコクサイM66が現代の標準的なシルバーメッキの色目ではないでしょうか。
KSCキングコブラは現行でも販売されているロングセラーで、”KSC"ブランド設立の初期製品ということもあり、様々なバリエーション展開があり、その中にこのピカピカメッキも存在したのです。
発売当時、主にこのようなバリエーションがあったと記憶しています。
・キングコブラ 2.5in,4in,6in HW樹脂
・キングコブラ 2.5in,4in,6in HW樹脂 ポリッシュ仕上げ(限定品)
・キングコブラ 2.5in,4in,6in ABS樹脂 サテンクロームメッキ
・キングコブラ 2.5in,4in,6in ABS樹脂 ポリッシュクロームメッキ (限定品)
・ピースキーパー 4in,6in HW樹脂
・トルーパー 4in,6in ABS樹脂 ポリッシュニッケルメッキ (限定品)
限定品の特徴としてフレームにシリアル番号が刻印されています。
おそらく仕上げに手間が掛かり、大量生産に向かないという理由で限定品としていると推察されます。
将来的に固定サイトのローマンも発売されるのかな、と期待していましたが実現はしませんでした。
まだあきらめてはいませんが需要はどれだけあるのか、という懸念はあります。
現在はキングコブラのみとバリエーションは減りましたが現行品として販売継続してもらっていることがすごいことです。

私の撮影技術が低いせいで、あまり画像上での違いが分かりづらいですが、この2丁の仕上げはかなり異なります。
ステンレスを再現する、となるとコクサイM66の色目の方がリアルという印象はあります。
専門誌の記事における掲載写真は撮影機材や照明など前提条件が変われば色目も変わって見えるということがあるとは思いますが、コクサイに似た色のステンレスモデルが多いです。
ただ、実物でも表面をポリッシュしたステンレスも存在します。
(実物を見たことはありませんが)オートマグなどはピカピカのイメージがありますね。
よって、KSCキングコブラがリアルではない、ということもなく、これはこれで非常にリアルなのです。
というのも、私のわずか数回の海外体験の中においてグアムで撃ったモデルが実はステンレス製のキングコブラで(6インチでしたが)、鏡面に近い仕上げだったという記憶があるのです。
それも数十年前のことなのに鮮烈に憶えているのが、表面をよーく見ると無数のヘアラインがあるのに、ぱっと見は鏡面のステンレス、という、画像の2丁のちょうど中間のような感じだったのです。
(写真も残っていますが炎天下の屋外で白く飛んで写ってて、あまり参考にはなりませんでした)
やはり本物は材質も違えば、表面の見た目も違うわけで、それが当然の結論ではあります。
ただ、どっちも似ている、というのは中々面白いですね。

ピカピカ仕上げのウィークポイントとして表面のヒケが目立つ、ということがあります。
ここで言うヒケとはフレーム側面など平面の面積が大きい箇所に現れやすい窪みのことを指します。
金型自体に凹凸があるわけではないですが、柔らかい素材を溶かして鋳造すると成型して固まる過程で表面に歪みが出やすいのです。
エランに代表される高級モデルガンでは機械加工で綺麗に平面を出してから刻印や表面仕上げをする、というパターンもありますが、基本的に量産モデルガンは金型による成型から、平面出しの切削を行っているものはほとんどありません。
よって、ヒケを残したまま組み立てて完成、となります。ヒケがあるからといって不良品という扱いはありません。(たいてい同じ個所にヒケが現れたりします)
艶消し仕上げだとヒケは目立たないのですが、光沢のある仕上げだと表面のヒケ、凹凸は目立ってくるのです。市販品で塗装あるいはサンドブラストによるサテンブラック仕上げが多いのはヒケを目立たなくする効果がある、というは一つの要因かな、と思っています。
自分で面出しをして仕上げなおす、という方法は地肌や塗装の場合は可能であっても、メッキ仕上げでは絶対不可能ということになります。
(面出ししてメッキが剥げた部分を塗装する、という手もなくはないですが)
それでも近年のモデルガンは昔に比べてヒケが少ない、ということもあるので気にならない人もいるかと思います。
私の趣味として、できればヒケは無い方が良いですが、GM2のようにヒケがたくさんある表面も味わい深いなーと思ったりもします。

シュラウドのあるシルバーのスナブノーズ。
私の場合、やはり「ベイシティ刑事」のジョンを思い出してしまいますね。
ただ、もっと昔の記憶を辿ると月刊Gunにおけるトビー門口氏のステージガン記事を思い出します。
ドックスペシャルの製作者で有名な中村氏(JAC/バベル)がノンメダリオンのパックマイヤーを付けたコクサイM66を発火している写真が載っていたのです。
確か1982~1983年あたりの記事だったと思います。
かなりその時の衝撃が強く残っていて、ある時に気づいたら手持ちのコクサイM66は同じような仕様になっていました。
ちなみに子供の頃、自分で初めて書店で購入したGun誌はトルーパーMKV 8インチが特集でした。
そこから本格的にハマっていくわけですが、内容も用語もよくわからないままボロボロになるまで読みつくしました。
なのでKSCキングコブラのバリエーションとして、どうしてもトルーパー8インチを発売してほしいのですが、ニーズはあまり高くなさそうなのが難点です。
いずれどこかのショップにオーダーするか、自分で作るしかないのですかね。。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/