2024年09月18日
大きいことは良いことだ?

"Tanaka M1917 5.5inch"&"Tanaka M360J Sakura"
今回はM1917を取り上げます。画像は双方ともタナカのモデルガンです。
大きい方がM1917、小さい方がM360Jサクラ。
共通点は日本警察で採用されたモデルということです。
M1917は戦後間もない昭和時代に採用された装備、サクラは現代の最新装備となります。
タナカはそんな新旧警察採用モデルの両方を製品化してくれている神のようなメーカーです。
45口径のセミオート、ガバメントは米軍のサイドアームとして20世紀のほとんどを活躍しました。
その長い歴史の中、WW1でガバメントが不足し、米軍の要請により45ACP弾を使用可能なリボルバーとしてS&W社とコルト社で生産されたのがM1917です。
WW2後、余剰となったM1917はアメリカより日本警察に貸与されました。
S&W M1917はM29 44マグナムと同じNフレームの6連発リボルバーなので非常に大きく重いです。
モデルガンはプラスチックなので、まだ軽い方ですが、本物は鋼鉄の塊なわけで、さぞ装備していた警察官の方は大変だったと想像します。日本人の体格には45口径は大きすぎるのでは?と思いますが、古い時代には駐在所などの警察官装備としてガバメントM1911A1もかなり存在したと聞くので、アメリカからの貸与・供与を受けていた背景からすると自然な流れだったのかもしれません。
とは言っても、SPの警護訓練映像などでブローニングM1910やコルト25ジュニアなどを見たこともあるのでカートリッジの統一などは優先度が低く、採用モデルはバラエティに富んでいるという印象です。
国内では使用頻度が少ないと思うので、昔の採用基準は曖昧だったのかもしれません。
M1917はその名が示す通り、生産初年度は1917年と思われますので、ひょっとすると生産後100年以上経つ古式銃ばりのビンテージ品が現役の可能性もあります。

こうして並べてみると、新旧装備での大きさの違いがよくわかります。
45口径6発と38口径5発というパワーの違いもあり、緊急時は強い方が安心感があるかもしれませんが、装備しているだけなら軽くて小さい方が良いかもしれませんね。
ただ、重大事案の場合は強力なストッピングパワーを必要とする場面も想定され、三菱銀行事件で有名な大阪府警”零中隊”はM1917を装備して突入したと言われています。
子供の頃、近所にVIP警備の詰所があり、そこにいる警察官はM1917を装備していました。
おぼろげな記憶ですが、警備の部隊(機動隊?)から来ていたかと思います。
皇居や霞が関など、まだまだM1917を装備している姿を見れた頃です。

グリップ部が露出したホルスターから見えるM1917がとても格好良かったです。
確かグリップアダプターと安全ゴムも付いていたと思います。
同じ時代、駅前の交番のお巡りさんはニューナンブかチーフだったと推測しますが、蓋つきで銃種のわからない小ぶりなホルスターでした。
子供としては「M1917の方が大きくてカッコいい」と思っていましたが。。
今、もし仕事で一日中、装備していなければならないとすると、私も結局はもっと軽くて小さいものを選んでしまうかも。
実際に警察官が好きなのを選べたら、コルト25ジュニアの取り合いになると予想します!


タナカとハドソンのM1917を並べてみました。
タナカからM1917が発売されるより何十年も前にハドソンがコルト版のM1917を亜鉛金属製モデルガンとして発売していたことがあります。
マニアックなモデルアップで有名なハドソンらしい製品と言えるかと思います。
1970年代後半のモデルガンですが、再現性は非常に高くリアルです。
ただ、作動性や仕上げはチョット雑な部分もあり、そこもハドソンらしい感じです。


タナカからM1917が出るまではハドソンのM1917が唯一無二のM1917モデルガンでした。
ただ、私の記憶では日本の警察官がコルト版を装備しているのを実際にも写真でも見たことがなく、記事の中だけの存在でした。
テレビの警察特集でも通常点検や射撃大会などで「それっぽい」見た目の物が写っていたとしても、確実に特定できるほどの情報を得ることはできませんでした。
あまりアップで何秒で写ることもないですからね。。


米軍からのオーダーどおり45ACPが使用可能なリボルバーとして設計されているM1917ですが、S&W版とコルト版では各社の既製品の構造をそのまま引き継いでいるため、パッと見のフォルムは似ているものの、よく見るとだいぶ異なることがわかります。
シリンダーの回転方向やラッチ構造、内部メカなどは構造が全く異なり、究極の「似て非なるもの」となっています。
おそらく共用できる部品もほとんどないかと思われます。

数少ない共通点、ハーフムーンクリップによる45ACP弾の装填。
タナカもハドソンも特徴的なこの部分をしっかりと再現しています。
ハーフムーンクリップは名前通り半月型をした鉄板製のクリップで1つにつき3個の薬莢を挟むことができます。
クリップがリムドカートリッジと同様の働きをするので、シリンダーのチャンバー内にカートリッジが入っていくことなく、エジェクターにも引っかかるのでエジェクト動作が可能となります。
ちなみに6発全部ホールドできるクリップは丸く一周しているのでフルムーンクリップと呼ばれています。
過去のGun誌のレポートによれば、実物ではシリンダー内にケース先端が接触する段が付いているため、クリップを使用しなくても撃てるそうです。ただ、エジェクターを使用できなくなります。
実物ではリムレスカートリッジでもクリップなしで装填でき、エジェクターも効くS&WリボルバーにM547があります。


その昔、上野で買った払い下げホルスターです。
"45 S&W"の表示があり、タナカはもちろんピッタリと収まりますが、ハドソンも問題なく使えます。
このあたりが同じ名前の軍用銃だなー、と感じさせてくれます。
タナカからコルト版のM1917をヘビーウェイト樹脂でモデルガン化してほしいと願っていますが、難しいですかね。。
コルトDAメカを極めたタナカなら、と、かすかな希望を持ち続けています。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
この記事へのコメント
>引退した人さん
はじめまして!貴重な情報ありがとうございます。
あの佐々氏も新人時代はM1917を装備していたのですね。
モデルガンでも大きく重く感じるので、実物はさぞ大変だったことと思います。
私も現物を目撃したのは子供時代(昭和)なので、平成以降どれくらい残っていたのか気になるところではあります。
今後ともよろしくお願いします!
はじめまして!貴重な情報ありがとうございます。
あの佐々氏も新人時代はM1917を装備していたのですね。
モデルガンでも大きく重く感じるので、実物はさぞ大変だったことと思います。
私も現物を目撃したのは子供時代(昭和)なので、平成以降どれくらい残っていたのか気になるところではあります。
今後ともよろしくお願いします!
Posted by MGCMC
at 2024年09月19日 09:30

私がM1917らしきリボルバーを見たのは、1989年大喪の礼直前の警備に立っていた警官の腰に画像のようなホルスターに収まっていたのが今のところ最後です。
まだM1917が残ってるんだと驚きました。
佐々淳行氏が目黒署で駆け出しの日々を送っていたときに支給されたのもM1917でしたが、重さなどお気に召さないとのことでした。
M1911はかの有名な銭形警部の得物ですがこれもさすがに現在は残っていないと思います。
まだM1917が残ってるんだと驚きました。
佐々淳行氏が目黒署で駆け出しの日々を送っていたときに支給されたのもM1917でしたが、重さなどお気に召さないとのことでした。
M1911はかの有名な銭形警部の得物ですがこれもさすがに現在は残っていないと思います。
Posted by 引退した人 at 2024年09月18日 22:30
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