2024年09月11日
ガバーメントの日

"MGC Government (GM2)"
9月11日はアメリカでは愛国の日、日本では警察相談の日などがあるようです。
ここはひとつ、1911から下3桁を取って、ガバーメントの日で。。そう勝手に決めました。(まったくの私的な妄想です。すみません。)
さて、今回は1974年に発売されたMGC初のABS樹脂製のガバメントモデルガンは社内開発コード"GM2"です。
それがそのままの愛称で親しまれています。
少し寸足らずのフレームは実物マガジンが使用できないように、という安全対策だそうで、これによりGM2は独特のフォルムをしています。
MGCガバメントシリーズでグリップが実物サイズとなるのはGM5と呼ばれるニューガバメント(1982)からとなります。
GM2は5インチのガバメントモデル1種で、のちに追加されたナショナルマッチ(GM4)と併せて1974年から1980年台後半あたりまで生産・販売されました。
当初は完成品(ブローバック、スタンダード)のみでした。
GM5発売後に旧型となったGM2・GM4はCPカート仕様の組立キットとして定価が下げられ、継続販売されたことからロングセラーとなったと思います。
プラスチック製モデルガン全盛期の初期ヒット製品として大量に生産され、カスタム等も全て把握できないほど多岐に渡ってバリエーション展開されました。
今回取り上げる個体は一見普通のガバメントですがちょっとした特徴があります。

画像の個体は当時「コマーシャル」と呼ばれた民間向け市販モデル(通称Pre'70)をモチーフとした刻印が入っています。
ただ、GM2はミリタリー仕様のM1911A1を基本としていたので、外装部品の形状はミリタリー寄りとなっているのが気になるところです。
そこで、のちに発売されたナショナルマッチ(GM4)のパーツを流用して、Pre'70仕様に近づけています。

カッコよく入ったPre'70風の刻印。バッチリと「コルト」表記や馬が入っていますが、元から刻印が入った金型によるものではなく、ホットスタンプによる後入れ刻印となっています。
素人考えでは後入れ刻印の方が製造コストが掛かりそうな気がしますが、輸出モデルやバリエーションモデルの製造を考慮して、あえてこうしているのだと思います。

この個体のレアな部分とは「コマーシャル刻印でブローバック仕様」となっていることが挙げられます。
スライドの右側面はこのようにブローバック仕様の刻印が入っています。この刻印はMGキャップ仕様の頃にもっとも多かったものです。
GM2では紙火薬仕様⇒MGキャップ仕様(MG-BLK)⇒SPG刻印追加⇒CP仕様と変遷していくので、それぞれ刻印が異なります。
もうひとつの特徴として初期ブリーチであることです。
GM2の最初期型は外装はミリタリー仕様。プラカート使用の紙火薬ブローバックで、特にスライドが凝っていました。
初期ブリーチは簡略化はあるものの部品点数の多いリアルな構造で、彫刻機によるシリアル入り刻印など手間のかかるものだったのです。
初期ブリーチ搭載モデルは当時の広告等を見ると主にこんな感じでした。
・標準仕様 M1911A1ミリタリー ABS樹脂 ブラック(地肌色)
・シルバー 刻印いろいろあり ABS樹脂 シルバー(ニッケルメッキ)
・カスタム 刻印いろいろあり ABS樹脂 ハーフシルバー(スライドが地肌色、フレームがニッケルメッキ)
よって、初期GM2(シルバーとカスタム除く)は「シリアル付きのミリタリー仕様」が大部分を占めたと思われます。
余談ですが、初期GM2は販売方法も特殊で、「MGCボンドショップに個人情報を提出し、シリアル毎の管理の上でのみ販売」として、部品も交換販売という徹底ぶりだったそうです。
私はリアルタイムで体験していないので、当時を詳しい方に聞くと「(初期型の)最後の方は名前を書いたりしないで普通に売ってた気がする」とのことなので、あまり長くはこの仕様と販売方法は続いてなかったのかもしれません。
その後、すぐにブリーチは1個の部品のみで構成されるエキストラクター一体のプレート式に変更。スライド刻印はシリアルなしのホットスタンプに改められました。安全性の向上とコストダウンが図られたことになります。
結局、画像の個体については正体不明なものの、部品自体は初期に生産されたと推測します。
ブリーチ構造が変わり、完成品として出荷することがなくなった旧型スライドは無刻印のまま余剰部品として工場に在庫されていたのではないでしょうか。
おそらく、この個体はそんな余剰部品を利用し過渡期に少数製造されたものと勝手に想像してみました。


コマーシャル版(上)とミリタリー版(下)を並べてみました。
なぜ「コマーシャル刻印でブローバック仕様」がレアなのか、まずGM2の基本情報をおさらいします。
シルバーメッキやカスタムを除き、標準仕様はABS樹脂の地肌色である黒色のスライド、フレームを持つ、いわゆるノーマルの「ガバメント」に相当するものについて掘り下げていきましょう。
ノーマルのGM2はミリタリー刻印がブローバック、コマーシャル刻印がスタンダードいう仕様が基本です。
ただ、外装はスライド刻印の違いのみで外装パーツ類はすべてミリタリー仕様にあわせ共通となっていました。
この時代、オートマチックモデルガンは「ブローバック」と手動排莢の廉価版である「スタンダード」と2種類が準備されていることが多かったです。主にデトネーターと使用カートリッジの違いとなります。他モデルではディスコネクターの有無もあったりするようですが、GM2では基本メカに違いはありません。
よって、見た目では違いが非常に分かりづらいのでGM2ではスライド右側にブローバック仕様を示すホットスタンプ式の刻印を入れており、スタンダードでは無刻印のノッペラボウでした。
こんな感じでGM2完成品では以下の仕様が一般的でした。
・ブローバック:ミリタリー刻印、ブローバック刻印あり
・スタンダード:コマーシャル刻印、ブローバック刻印なし
なお、生産期間が長かったGM2は価格も時期によって異なる(上下を繰り返す)のですが、もっとも特徴的だったのは見た目はほとんど同じでブローバックが10000円(のちに8500円に下がる)、スタンダードが4800円だったことです。
この時代はカートリッジが別売りだったので、本体のみの定価で倍くらいの違いがあったのです。
すごい思い切った価格設定かと思います。
これはブローバック用のデトネーター製造に良い素材と高度な加工を要することから部品代が高くなってしまうことが一因だそうです。
当時でもデトネーターが1本2000円程度だったと思うので、単純に考えるとスタンダードとブローバックで本体価格に差分となりますが、別の一面があったと想像します。
それは「デトネーター式ブローバックはMGCの特許技術であり、付加価値が高い」という明確な差別化を図る販売戦略です。
当時、モデルガンのブローバック技術はMGCが特許取得し独占しましたが、他社は半ば公然と特許侵害し自社製品に採用していたとか。
MGCの特許は他にも多数あり、インサート工法などは遊戯銃業界の未来と安全のために無償公開していたりもしていたことや、刻印やメダリオンなどにも細心の注意を払っていたことから、かなり特許・商標関連については敏感だったと思います。
なのでブローバックには自社独自技術として1丁約5000円の価値を付けて強くアピールしていたとも感じられるのです。
ブローバックのカートリッジは先進的な初代プラカートから紙火薬アルミカート、キャップ真鍮カートとどんどん変更されていきます。
スタンダードはプレート式に改良されてから追加設定されたようです。スタンダードのカートリッジは先端の窪みに火薬を差し込む真鍮ワンピースとなります。
窪みのサイズ変更等、若干の仕様変更はあったようですが、他製品のリボルバーカートのようにインナー方式に改良されることはありませんでした。

1979年版のMGCカタログには昔からの謎があります。
上はブローバック仕様の刻印が入った右側の写真、下はコマーシャル刻印の入った左側の写真が掲載されています。
これは同一製品の左右を写したものなのか?
あるいは上はブローバックで下はスタンダードなのか?
実は右側のページにはオプション装着見本でミリタリー刻印の左側が写っているので、上BLK下STDの解釈が妥当なのかなーと思ってたりします。
また、今回取り上げた個体のものとはグリップ形状は少し異なります。
GM2のプラスチック製グリップも多くの種類(色、形状など)があるので、こちらもいずれちゃんと調べて纏めておこうと思います。
このカタログは非常に長い間、MGCボンドショップで売られていたのでGM2を持っていなくとも、このカタログ写真のモデルを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
ただ、前述のとおりコマーシャル刻印でブローバックというのは生産数が少ないのか、ほとんど見かけません。
メーカー純正カスタムの「コンバットカスタム」はブローバックのみの製品でコマーシャル刻印の方が多く見かける気もするので、単純に私が出会ってないだけ、という可能性もあります。
何せGM2は初期型だけでも何万丁も売れ、最終的には今では考えられないくらい大量に生産された大ヒットのロングセラー・モデルガンなのです。
GM2系はカタログに存在しない謎バージョンが多数存在します。
過渡期仕様や特別仕様などいろいろ存在してもおかしくはありません。。。
MGC純正、MCWカスタム、WAカスタム、その他にイベント限定カスタムだけでもかなりあります。
生産期間中の仕様変更や改良、修理による部品交換、オプションパーツや他モデルとの部品組み換え、ショップや個人のカスタムまで様々なパターンが存在しうるので、オリジナル状態でどのようなバリエーションがあったのかをまとめ上げるのは相当大変そうです。
そんなこともあって、ホームページ版のGM2特集は情報整理が頓挫したまま未完成なので、いずれこういったバリエーションについても出来る限り、纏めたいと思っています。
いつになるかはわかりませんが、ぼちぼちとやっていきます。。

プラ製のGM2とご先祖様GM1のカタログを並べてみました。
さすが兄弟?すごいよく似てますね。
GM2前身モデルの金属製モデルガンGM1(1966年発売)は発売時は黒い金属製スタンダードモデルガンでした。
その後、1971年の銃刀法改正により銃腔完全閉鎖で金色仕上げで継続販売されました。
背景に置いているGM1カタログは1971年以前のものと思われますが詳細は不明です。
このカタログはMGCの工場がいよいよ閉鎖される、というとき(2010年~2011年頃)に「古いカタログとか処分するのであれば売ってください」とお願いしておいたら、MGCの方に本当に探していただけました。
まさかここまで歴史のある貴重なカタログとは思いませんでしたが。。
それだけMGCは長い歴史があり、その幕を閉じようとしていたところだったのですね。
GM1は「ガバーメント」「コマンダー」が1966年、「ターゲット」が1968年、「ブローバック」が1971年に登場したとあります。
カタログ掲載のGM1はPre'70仕様となっていて、GM2と違いしっかりとハンマー、セフティ、スライドストップ等の部品類もコマーシャル仕様のパーツ形状をしています。
特徴的な樹脂製グリップも発売当時は実物どおり馬まで一体成型だったそうですが、輸出対応のため、別部品のメダリオンになったとのこと。カタログ表紙はその頃のものと思われます。
GM1は1966年発売で、当然ながら本物もシリーズ'70は未発売。
つまりPre'70が現役バリバリの時代にモデルアップされた最新型だったということになります。
当時は当然「Pre'70」という呼称は無かったので、何と呼ばれていたのですかね。。
そういえば以前、GM1とGM2では部品の互換性があるか?と質問されましたが、私はその時代のモデルガンに対して全く知識が無く、回答できませんでした。
詳しい方にフォローしていただきましたが、無加工で取り付けできる部品はグリップとマガジンくらいだ、と説明されていた記憶があります。
GM2のグリップサイズが短いのはGM1譲りだったのですね。
ちなみにプラ製のGM2を再び金属モデルとして販売したのがGM3だそうで、主要部品以外で共通部品があるそうです。
ただ、1977年の法改正でGM3は販売できなくなったことから、継続販売されたGM2にGM3の部品を流用することはあまり無さそうです。

昔は「ガバメント」でなく「ガバーメント」と表記していることが多かったと思います。
私は英語が苦手な方なので、実際の発音はどんな感じなのですかね。
確かイチローナガタ氏の過去の記事で説明されていたような記憶もありますが、該当の文献を探せませんでした。

GM1のカタログで一番驚くのが「ステージガン仕様」というのが堂々と掲載されていることです。
↓↓↓↓【以下、GM1カタログより抜粋】↓↓↓↓
A PERFECT STAGE-GUN
装填・送弾・撃発・排莢・連射のアクションがワンカットでOK!
小道具さん、貴方がたの永年の苦労が報われる時が来ました。
スライドを引き、引金をシボルだけで撃発の瞬間にスライドは激しく後退して薬莢が飛び出し、しかも反動もあり。
分解しても、アクションしても、何をしても”シャシン”になるという、ステージガンの革命児です。
そのスタイルは、迫力ある外観を持つ、ガバーメントとコマンダーの2種類で、その優秀性と安全度の高さは、日本ロケに来た外国TV映画のロケスタッフさん達が実証してくれています。
価格¥8,000円より
↑↑↑↑【ここまで】↑↑↑↑
確実なことは言えないですが、何となくGM1ブローバックモデルのことを指しているような気がします。
GM1は発売当初は全てスタンダードでショートリコイルを再現したモデルのみの展開で、のちにMP40用の9mmカートを使用するブローバックモデルが追加されたと聞きました。
なので、ステージガンといっても、いわゆるチョーク式の本格的なものではなく、前撃針デトネーター式ブローバックのモデルガンなのではないかと推測しました。
よってこのカタログはブローバックモデル発売時、あるいは「ステージガン」としてブローバックモデルをテスト販売している時期のものなのかもしれません。
なお、その後GM1ブローバックモデルは早々に製造中止となったものの、ブローバック用ストレートバレルだけスタンダードに搭載され、GM1販売終了まで生産されていたとのこと。
「規制後の売り上げ低迷で生産コストを下げるための措置」ということが一因と聞きましたが、詳細は不明です。
GM1とGM3は法改正で国内販売中止となった後も輸出モデルとして継続生産していたそうです。
余剰部品を組み上げていたのか、新規製造を続けていったのかは不明ですが、過去にグアム旅行に行った際、観光地の射撃場で初心者の操作練習用として金メッキで銃腔完全閉塞のGM1が置いてあったのを覚えています。
本物のガバメントより気になってしまったような記憶が。。やはり私は弾が出ないモデルガンの方が合っているようです。
ちなみにGM1ブローバックモデルはディスコネクターがフレーム外側に露出しており、判別は容易みたいです。
たしか映画「ゴキブリ刑事」か続編「ザ・ゴキブリ」あたりで出てきたような?
実物と異なる構造のディスコネクターは現在のタニオコバGM-7みたいですね。
安定した発火性能を考えると理想的なのかも??
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
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