2024年10月09日
PPCバレル、白濁す

"MGC Python 357 PPC Custom 8inch MCW"
MGC内に存在したメーカーカスタム部門は1981年頃からMGCカスタムガンワークス(MCW)を名乗るようになりました。
それまでもメーカー純正のモデルガンカスタムは存在しましたが、本社で熟練工によりハンドメイドで製作するもの、工場で量産するものが混在しており、特にその内訳について公式な説明があったわけではないようです。
1980年のMGC創立20周年を契機として多くのモデルガンカスタムを製品化する中で手の掛かるハンドメイド系カスタムを主軸とするMCWが誕生しました。
MCW初期の製品としてGM2ガバメントやGM4ナショナルマッチのコンバットカスタム、44マグナムとパイソンのPPCカスタムが製作されました。

MCW設立前後で刻印の有無や仕様違いが見られますが、MCWカスタムの特徴として"MGC Custom Gun Works"あるいは”MCW"の刻印とシリアルナンバーが打たれていることが挙げられます。
シリアルナンバーに関しては色々と謎が多く、番号の抜けや重複があるようです。
これは全体の遠し番号で無く、店舗ごとの通番であるという説や、製作者や工場が適当に付けていたという説まであったりして、真相は不明です。
単なる採番ミスや複製カスタムという可能性もあったりするので、番号に関してはあまり気にしないようにしています。
過去のブログで私物のカスタムを載せたところ、『実は私も同じ番号を持っています』なんて情報が寄せられたりして驚いたものです。
MGC(MCW)もGM5以降は一部のイベント限定カスタム以外は固有シリアル打刻をやめてしまいました。
MCW以前にもGM2初期型や初代M31RSなどMGC既製品で固有シリアルというのは実績があったものの、他製品に波及しないのは製造の手間や番号の発番管理など、かなりコストも掛かって大変なのだと思います。自分だけのシリアルというのは嬉しいものですけどね。。
パイソンPPCカスタムについて掘り下げていきます。
ABS樹脂製のパイソンにボーマーサイトリブ、スクエアのヘビーバレル、木製グリップを取り付けた外観カスタムです。
リブは亜鉛合金製の鋳造品で、銃種や銃身長に合わせて機械加工によるフィッティングが行われています。
バレルは樹脂製で機械切削加工により仕上げられ、刃物跡(ツールマーク)もあえて残した状態で刻印を後入れしているようです。
バレルの固定方法はまずバレルはアウター、インサート、インナーをピン留めし接着。さらにインナー後部をフレームにピン留めし、その上方からサイトリブごとネジでガッチリ固定。
次にサイトリブとバレル、フロントサイト、リアサイトをネジで固定することでサイトリブ、バレル、フレームが1つのメインフレームとなります。
こうしてPPCカスタムの外観が出来上がります。
気になる点として、通常の製品とは樹脂の素材配分が違うのか、バレル部分は外気に長く触れさせていると表面が白濁(灰色化)していくという特性があるので、保管・保存には注意が必要です。
おそらく旋盤加工の為の耐熱性・耐久性を持たせるための素材配合では必要以上に黒くできなかったのではないでしょうか。
通常のABS樹脂製モデルガンに使用している真っ黒な地肌色は金型成型を行う原料としては有効でも、切削加工には向かなかった、という仮説です。
あるいは少数生産の削り出しバレル、となると一般的な工業用の樹脂素材(角材、板材、丸棒など)からの加工となり、そこにモデルガン向きの真っ黒い素材が無かった、という可能性も考えられます。
ジュラコンかデルリンのような白系の素材に顔料で黒染めした物ではないかと推察されている方もいました。
そんな謎の「灰色っぽい素材」はカスタムでは当時けっこう見かけた方も多いかと思います。
PPCカスタムの他、ウッズマンカスタムやGM5のコンペンセイター等、削り出し加工の樹脂パーツは灰色に退色してしまっている個体が多いです。

パイソンPPCカスタムの付属品として、黒色のハードケースの他、真鍮製の飾りプレート、特製シルバーメッキのリム刻印入りカートリッジ、ゴム製スピードローダー、刻印入り鉄プレス製ドライバー(コインドライバー)が付きます。
あとはPPCカスタム専用の手書きの説明書(注意事項)が付いていました。
カートリッジは後に販売されたスプリング内蔵のHGカートリッジとは異なり、通常の構造のカートリッジにメッキを掛け、リム刻印を入れてあるものです。
ゴム製スピードローダーは既製品のパイソン販売当時からアクセサリーとして販売されていたものと同じです。経年変化でゴムが劣化しやすいので、かろうじて原型を保ってたとしても飾り用としてケースにしまっておくのが良いかと思います。
コインドライバーは片面にMGC、もう片面にMCWという刻印が入っています。
付属の注意書きにも記載されていますが、バレル周りの部品の多くは安全対策の為に分解不能となっていますので、発火後の分解掃除をするには少々厄介な構造となっています。
当時はそんなことも考えず、パンパン発火していました。おそらくバレル内部には結構な汚れが溜まっていると思いますが、リボルバーはそこまで扱いがシビアでは無いので、バレルが分解できなくても動かなくなったり、朽ち果てたりはしません。
ただ、メンテが行き届いておらず、エジェクターロッドは錆びついてしまいました。。
PPCカスタムの製造工程の都合上、フレーム前方(フォーシングコーンの前あたり)にサイトリブ固定用の穴が空いているので、発火ガスが上方のリブ側に抜けてしまい、メンテナンスを怠ると亜鉛合金であるサイトリブにも変色・腐食が起きるので要注意です。

パイソンのPPCカスタムには4,6,8インチと3種が販売されました。
発売当時は「PPCカスタムなのに4インチなんて」と揶揄する声もあったそうですが、西部警察で鳩村刑事(舘ひろし)が使用したことにより、一番人気に浮上しました。
6インチと8インチが製造中止した後も突如4インチだけ再生産されたりと、その人気はすさまじいものがありました。
私は新品で売られていた時代がリアルタイムではありましたが、稼ぎのない子供でしたので4インチ再生産の時も変えずじまいでした。
再生産の時に「人生で一度きりの土下座」をして親に頼みましたが、17000円のオモチャを平時にポンっと買ってくれるはずもなく、泣く泣くあきらめた苦い記憶があります。
そして買えもしないのにMGCに通いつめ、トランペットを眺める少年のごとく、売り切れるまでずっとショーケースのPPCカスタムを見ていました。。
(ただ、別の話として九州旅行の際にお土産代としてかき集めた資金を使い込んでMGC福岡店で44マグナムPPCを買ったことはあります。。それはまた別の機会に。。)
そんなわけで、これらのPPCカスタムは大人になってから中古でこつこつ買い集めたものがほとんどとなります。
パイソンPPCカスタムの製造時期は当時の広告類などから見るに1981~1982年あたりと推察できます。
シリアルナンバーは500~600番台あたりまでは確認できてますが、前述のとおり全体の遠し番号なのか店舗ごとなのか、あるいは年度ごとなのか不明な部分があって製造数は断定できません。
ただ、当時のモデルガン人気を考えると各銃身長ごとに500丁ずつくらい、というとチョット少ないかな?という印象もあり、1000丁規模で生産されていたのではないか、と妄想しています。
その中でも個体差や仕様差があり、のべ何パターンかあるようです。
グリップのバリエーションはローズウッド製のオーバーサイズが最も多く、形状やメダリオンの位置、有無なども何種も確認できます。
メダリオン無しでフィンガーチャンネルが1山、底面がフラットのローズウッドグリップが最も多く見られるバージョンで、西部警察ハト仕様もこれにあたります。
生産終了後に少数追加生産された4インチはノーマルパイソンのオプションと同じウォールナット製のフィンガーチャンネル2山バージョンが装着されており、ハードケースでなく、のちのGM5系で多く見られたソフトケースに入って販売されていました。
ちなみに画像の6インチに付いているようなローズウッド版2山グリップも存在します。
また、初期生産分でもウォールナット2山もPPCカスタムに付いているパターンもあったかと思います。
これは東京タワーか後楽園のイベントで本体のみの放出品が出たときに私が目撃した記憶がある、というだけなのでボンドショップ店頭で売られていた正規品で同仕様があるかは不明です。
バレルの刻印についてはMCW、シリアルとも刻印位置が上下左右にかなり幅があるようです。
製造時期の違いでフォント(字体)や文字サイズの違いもありますが、どの程度まで種類があるかは突き止められませんでした。
バラツキというよりもハンドメイドのカスタムならでは、という部分なのかと思います。

この個体(8インチ)も中古入手なわけですが、ちょっと特徴的な部分があります。
それはシリアルが"S.02"という番号となっており、その後の量産品には無いサイトリブ上にもシリアル刻印があるのです。
これは一体、何なのでしょうか。。


販売当時の広告写真を見ると、そのヒントがありました。
よーく刻印を見てみると。。。

同じ感じのシリアル刻印が打たれています。
おそらく広告用のサンプル品であることを示す"Sample"からSから始まる番号を刻印しているのではないかと推測しました。
手持ちの資料では私の8インチと同じサンプルが写っている広告を見つけることはできず、「サンプルの略でS」というのも正解か分かりませんが、Sシリアルは販売用の商品ではないことが一目瞭然で分かるようになっているのだと思います。
市販品はアルファベット無しの1桁から3桁の数字刻印のみとなっています。
では私の個体"S-02" 8インチはどこからやってきたのか??
ショップの中古コーナーで購入したもので、入手時期もかなり前だったので詳細は記憶にないですが、何らかの形でMGCから放出され、中古流通していたと考えるのが妥当かな、と思っています。
サンプルが当時どれだけ生産されたのか、は謎ですが、広告用やボンドショップ展示用に各バレル数丁ずつは存在するのではないかと思います。
そういえばMGC末期の頃にホーグ製のパイソン用グリップが発売された際、ニューMGC店舗で装着見本としてMCWのPPCカスタムが展示されていました。
「本体は非売品」と書いてあるにもかかわらず、売ってくれーと粘っている方を見た記憶があります。
どうやら店員さんの私有物だったようで、その後どうなったかは分かりません。。。
ただ、店舗が完全閉店するときに明らかな個人コレクション品みたいなものもショーケースに飾られて売っていたという記憶もあります。最後は絶版品の〇〇は無いですか?工場に部品は残って無いですか?みたいな問い合わせも大量に来ていたようなので、何か役立ちたい、と思って私物を放出された方がいたのでしょうね。。確かハイパトも何丁か高めの価格設定で出ましたが抽選販売だった記憶があります。

広告を調べているうちに見つけた、さらに古いPPCカスタムの広告。
この広告では"PPC COMBAT SHOOTING HEAVY BARREL"という名称で紹介されてはいますが、具体的に仕様や価格などは説明されていません。
記憶ではこれと全く同じ仕様のモデルガンが発売されることはなく、のちのPPCカスタムシリーズの製作予告という感じの広告だったのではないでしょうか。
よってこれはサンプルというより試作品と言う方が適切なのかな、といった感じです。
双方ともプラスチック製(ケミウッド)のノーマルグリップがついており、リアサイトもGM4用と思われるイライアソンが付いています。
44マグナムはグリップとリアサイト以外は実際に販売されたカスタムと近い仕様の感じがします。
一方、パイソンはラウンドバレルで販売されることは無く、すべて角バレルでした。
この広告、MGC機関誌のビジェールにも載ってましたが、1980年にGun誌の裏表紙にカラーでバーン!と載っていたのですよ。。欲しい!買ってやる!!と思って貯金し、いくら待っても発売されない。。というマニアもひょっとしたらいたのかも??
そして1990年代の中頃だったと思いますが、ヘビーウェイト製のパイソンをベースに右の試作品とそっくりな仕様のカスタムがニューMGCから限定販売されたことがありました。
(PPC4インチのHWリバイバルのついでに、といった感じではありましたが)
おそらく、この広告仕様を夢見ていたファンが一定数いたのだろうなーと、その夢を叶えるべく時を超えて限定ながら製品化して販売したということは、非常に胸の熱くなる話ではあります。
** MGCMC BONDCHOP
http://mgcmc.blue.coocan.jp/
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